中国と韓国が感染危険地域から除外
タイは新型コロナウイルス「COVID-19」への対策が日本よりも厳しく、その成果もあってか5月に入ってから新規感染者数が減少。5月3日からは3月下旬から続いていた飲食店や商業施設などの営業規制緩和が始まっており、通常の状態に戻るための動きが見られ始めた。
一方で、非常事態宣言は継続され、5月末までは夜間外出禁止令、6月末までは海外からの航空機の飛来などは禁止される。タイ政府は国内の状況を緩和させつつも、国外からウイルスが再度持ち込まれることを強く警戒している。
そんな中、5月16日に新規感染者が減少した中国と韓国、それから香港とマカオを感染危険地域から除外することがタイ政府により決定されたと、タイのメディアが報道した。例年、中国と韓国からの訪タイ者数は多い。2019年はおよそ1099万人の中国人がタイを訪れ、国籍別ではトップとなっている。韓国人は日本人よりも多く、およそ189万人で、国籍別には4番目に多かった。
再び警戒され感染危険地域に指定されたままの日本
中国と韓国は、一時期、感染者数が爆発的に増加し、世界的に入国に際して警戒された。欧米では中国人、韓国人、日本人の区別が外観的につかないため、中国人と一括りにされてアジア人蔑視が相次いでいた。タイにおいては元々アジアの国であること、中国からの移民の子孫が多いことから、北方のアジア人の蔑視は、ほとんどなかった。
日本は大型客船の対応などがニュースになったことからタイでも入国のスクリーニング強化の対象国となったが、その後、韓国の爆発的感染者増加によって、警戒の対象から外れていた。しかし、現在は再度、日本国内での感染者の増加や、日本政府の対策の後手が報道され、中国や韓国よりも警戒される国になりつつある。
そのため、感染危険地域からの除外に対して日本は候補にも挙がらず、厳しい目が向けられている。中国と韓国の除外で、現在、タイ政府が新型コロナウイルスの感染危険地域と指定するのはアメリカ、日本、スペイン、ドイツ、フランス、スイス、ノルウェー、スウェーデン、イタリア、デンマーク、イランとなる。欧米のような蔑視がタイにはないものの、日本は警戒されている状況だ。
タイ-日本の移動再開は7月以降に
とはいえ、日本との交流の再開はタイにとって最優先事項とも受け取れるニュースもある。「タイ国際航空」は7月からタイ-東京などの主要都市へのフライトを再開しようとしていることを発表している。
現在タイは6月末まで国外からのフライトを許していない。その中で、タイ人から人気の観光先となっている日本航路がまずは再開の候補として挙がっているのだ。
近年は中国の観光地への渡航もタイ人から注目される。一方、韓国人のタイ入国者数の多さ、K-POPなどの韓国人歌手人気のわりには韓国は渡航先としての魅力をタイ人に伝えきれていない。
タイとアジア各国の観光客の往来は、まずは日本からとなりそうな予感だ。
高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』、近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレスなど。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)