デッドラインを乗り越えて生き残った瀋陽北レス

デッドラインを乗り越えて生き残った瀋陽北レス

営業停止している平壌館。隣のコンビニは通常営業している

デッドラインを乗り越えて生き残った瀋陽北レス

 新型コロナウイルスが最初に蔓延した中国は武漢から離れた地方都市でもいち早く都市経済を止めるほどのロックダウンを実施した。その結果、現在、中国当局が発表する数値上ではあるが、北朝鮮と国境を接する遼寧省の省都で平壌との空路定期便がある瀋陽や日本人が多く生活する大連、国境を接する丹東などは規制が緩和されて日常的な経済活動を取り戻しつつある。

 すでに大連と丹東、瀋陽などを結ぶ高速鉄道も再開されて、大連空港からの中国各地への国内線も飛び始めている。

 国連制裁のデッドラインだった昨年12月21日、海外で働く北朝鮮労働者を全員帰国させる最終履行日を過ぎた今年1月上旬でも営業を確認した瀋陽のコリアンタウン西塔の大型北朝鮮レストラン(以下、一部北レス)「平壌館」や「牡丹館」は、現地在住者からの報告では、春節(旧正月)前まで営業を確認していた。その後、どうなったのだろうか。

ロックダウン解除の瀋陽で北レス営業停止を確認

 瀋陽や大連は、まだ国内向けの旅行業など一部のサービス業は営業再開が認められていないが、厳しく制限されていた外出制限は解かれ、店内での飲食も許可され、すでに娯楽施設などの営業も一部再開している。

 瀋陽在住者によると、西塔のメイン通りにも自動車や電動自転車の往来が戻ってきており、街の活気を取り戻しつつあるという。しかし、残念ながら3月6日の現地情報では、生き残ったはずの北朝鮮レストラン平壌館と牡丹館は営業停止されていた。施錠されたドアには閉店(多くの場合は中国では店内改装と書かれていると閉店を意味する)を示す張り紙は確認できなかったので、また再開する可能性を残している。

 店内飲食が禁止されていた間、各飲食店は、テイクアウトやデリバリーサービスで営業をなんとか続けてきた。北朝鮮レストランの場合は、北朝鮮の女性スタッフが注文から配膳、ステージショー、会計まですべてこなすが、さすがに北レスのデリバリー業務は難しいと思われる。

主だった北朝鮮関係者は1月末に帰国

主だった北朝鮮関係者は1月末に帰国

2020年を迎えた北朝鮮レストラン・牡丹館も営業停止している

 瀋陽は多くのデリバリーサービスを電動自転車で配達する。自転車扱いなので免許は不要だが、道を熟知していたり、より細かな中国語が必要となるだろう。また北朝鮮レストランの女性スタッフは建前上、給料を受け取っていないとなっていたはずだが、今までは違う配送作業は労働と見なされる可能性もある。
 
 中国ではデリバリーを自前のスタッフか、日本で急拡大の「ウーバーイーツ」のようなデリバリーのプロへ委託して弁当としてデリバリーするのが一般的になっているので、北朝鮮人女性スタッフたちの出番はなく、“自宅待機”しているのかもしれない。

 瀋陽の北朝鮮旅行代理店によると、元七宝山ホテルに「朝鮮国際旅行社(KITC)」や「高麗航空」の事務所がそのまままあるが、北朝鮮人関係者たちは、中朝間の空路、国際列車が停止された1月末に全員帰国して以降、中国には戻ってきていないとのことだ。

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