一部の北朝鮮ニュースはまるでSF映画
北朝鮮は、新型コロナウイルス感染対策で中国、ロシアからの国際列車や空路を2月1日までにすべて停止させた。中国貿易の依存度が大きい北朝鮮は、中国との往来停止は死活問題となるため、日本のメディアでは、「北朝鮮はもってあと15日間で崩壊する」などのあおりタイトル記事が踊った。しかし、15日間どころか、2か月近く経過するか崩壊したとの情報はない。
北朝鮮関連のニュースは、推察も含めて投げっぱなしで、その後のフォローもなく次々と投げ続け読者をあおるだけというメディアも少なくない。それらのメディアが訂正記事を出したことをみたことがない。まるでファンタジーやSF映画、推理小説の世界のようだ。
人の往来は止まっても貨物は北朝鮮へ入っている
確かに訪朝者の大半を移動させていた国際列車や航空機は停止しているので、人の往来は自動車などの陸路に絞られているが、貨物は運搬されていることが確認できる。
2月26日の『労働新聞』には、中国丹東から入国した貨物車両を新義州で消毒しているとしたカラー写真が紹介されており、貨物の消毒についての解説もある。貨物の背景が映っていないので本当に新義州駅周辺かは確認できないものの線路には残雪があるので、丹東の天気を調べていけば特定できると思われる。
他にも「自由アジア放送(RFA)」は、3月5日に丹東から新義州へトラック2台が入国し、新義州で積み替えて平壌へ向かったと報じている。貨物の中身は、防疫服や消毒薬、マスクなどの防疫用物資で、RFAは、丹東在住の北朝鮮人の話として、北朝鮮政府が中国政府へ要請した支援物資であると伝えている。
丹東税関は停止。輸出入手続きはできない
一方、丹東の旅行会社や朝鮮族貿易関係者へ話を聞くと、現在、丹東税関は停止されていて貿易手続きは行っていないと話す。
丹東税関は、鴨緑江近くにあり、丹東駅からの線路沿いにある。税関閉鎖とは、中朝貿易にカウントする公の交易が全停止していることを意味しているのか、それとも密かに手続きできる例外が存在するのかは不明だが、中国は過去にも北朝鮮が洪水被害に見舞われた際に人道支援目的として中身不明な支援物資を大量のトラックで運んだことがあるので、今回も貿易扱いせず、人道支援として輸送した可能性が考えられる。
指導者のように地元民に気づかれない深夜や早朝に移動?
鴨緑江近くで商店を営む男性は、1月末から鉄道が通過したのを見ていないと証言しているので、もしかすると、北朝鮮から指導者を乗せた特別列車が丹東入りするときのように丹東住民に気づかれにくい深夜や早朝などの時間帯を選び越境したのかもしれない。
もっとも2月末の丹東は外出制限をされていた時期なので鴨緑江の公園を散歩したり、断橋へ近づくこと自体が難しかったと思われる。
俩人房车旅行,丹东黄土坎大集,辽东海滨特色尽在其中
字幕表示ができないが、丹東のローカル市場映像。丹東は海鮮が名物として知られる。海鮮といっても鴨緑江で取れる魚介類が多い。