3月22日から新型コロナウイルスの陰性証明書と1100万円相当の保険契約が必須に
タイ入国が実質的に規制され、日本や韓国からタイへの渡航が難しくなった。タイ政府が新型コロナウイルス「COVID-19」の防疫措置のため、隣国と接する国境や国際空港からタイへの入国を制限し始めたのだ。
この措置には、新型ウイルスに感染していない「陰性証明書」を出発国で72時間以内に発行してもらい、10万米ドル(約1100万円)相当の新型ウイルス感染時の治療費が約束された保険を契約していることが盛り込まれている。日本ではこの証明書は発行されないとも言われ、適用され始めた3月22日から日本人の入国者数は数えるほどになったとみられる。
しかし、日本はタイ政府による「感染の危険がある地域」に指定されていないので措置としてはまだマシな方である。タイ政府は、これらの地域は中国本土、香港(中国SAR)、イラン、イタリア、マカオ(中国SAR)、韓国の6地域としている。※SAR=返還後の特別行政区
そのため、韓国から渡航する場合は陰性の証明書も48時間以内に発行したものでなければならず、入国時の検疫もより厳しい。さらに、滞在時も行動や体調を監視官に報告しなければならないなど、制約が多い。
韓国人への印象は悪くないものの…
元々韓国は日本よりも滞在ビザが優遇されている国で、ビザ免除でも90日間滞在できるなど、日本のパスポート保持者の3倍も長く滞在することができた。しかし、これもこの新型ウイルスの騒動で停止となり、現状は9月末まで、韓国人はビザを取得しないとタイに入国できなくなっている。
ただ、タイ人の韓国人に対する感情は決して悪いものではない。タイでもK-POPや韓流ドラマは今でも人気である。しかし、一方では韓国旅行はあまりタイ人には人気がない。韓国ではタイ人の不法就労が多いため、度々タイ人の入国規制が行われる。タイ人は自国の汚点に目を向けない国民性もあり、入国規制の部分に注目して反発が起こる。それで韓国旅行があまり注目されない。
韓国から帰国を希望するタイ人不法就労者
他方、タイ人の不法就労も事実で、今回の新型コロナウイルスの騒動でタイ人の不法就労者たちが不安になり帰国を望んでいるというニュースも流れている。それも数千人単位とも言われ、さすがにタイ人たちも「自業自得だ」として、不法就労者たちがタイに帰国することに反対する声も多い。
タイ人は比較的結束力があり、自国民を互いに擁護し合う傾向にあるが、さすがにウイルスの蔓延の方が怖く、タイ人たちは不法就労の同国人たちを切り捨てようとしている。
高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』、近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレスなど。
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