2020年2月訪日中国人前年比90%減
日本も外国人渡航者が激減し、外国人観光客を当てにしていた業種は厳しい状況になっている。今月6日、出入国在留管理庁が衆院国土交通委員会にて2020年2月の外国人新規入国者が100万人を下回ったと公表したことが報道されている。同月の中国人新規入国者数も前年の約56万人から6万人を下回り、90パーセント近くもマイナスになっている。
タイでも新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響が2月から出始める
東南アジアの人気観光国タイも同様に中国人が減っている。例年、タイの入国者数は、国籍別だと中国が圧倒的に多く、2019年は年間1000万人超がタイを訪れている。続いてマレーシアが400万人レベル、インドは200万人、4位は韓国、5位にラオス、そして6番目に日本と続く。4位から6位の3か国は180万人レベルだ。
それが新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が出始めた2月に大幅に状況が変化してしまった。下記にまだ影響のなかった今年1月と、先月2月における上位6か国の入国者数を見てみよう。タイの入管が発表している統計をもとにしている。
2020年1月
中国 105万4891人
マレーシア:35万8845人
インド 16万7027人
韓国 21万4203人
ラオス 28万6345人
日本 16万3026人
2020年2月
中国 17万840人
マレーシア 21万134人
インド 9万4248人
韓国 5万8487人
ラオス 25万2143人
日本 14万568人
減少率がもっとも小さい日本
中国人(本土からの中国人で、香港は含まない)が1月は100万人を超えていたが、2月は17万人にまで落ち込んでいる。春節以降、中国政府が団体旅行の渡航を禁止したことが大きな影響を与えているとみられる。
商業施設や観光地によっては中国人減が明らかに観光収入減に直結していることが目で確認できるほどである。前年比でも2月は約84パーセント減で、大幅な減少だ。
日本人も減っている。これは企業の出張が取りやめになっている影響とみられ、観光客は案外キャンセルせずに渡航している人が少なくない。そのため、2万人程度の減少で済んでいる。
中国人84%減の影で韓国人減も著しい。厳しい目が向けられる韓国
こうして一覧を見ると中国人減に注目しがちだが、案外、韓国人も大幅に減っている。1月は日本人入国者数を5万人も超えているが、2月は逆に8万人近くも少なくなった。韓国は、感染者数が多く、タイ政府も入国時に警戒を強めていることも影響していると考えられる。
タイ政府もアジア圏内では特に中国と韓国の入国者に注意を払っているように見受けられる。今回の新型コロナウイルスの猛威が注目され始めた当初は、日本人も検査強化の対象になっていたが、その後、韓国の感染者数の急増で、タイ人の目は韓国に向かっているようだ。
タイは感染者数が幸いあまり多くないのだが、今後どうなるかは誰にも分からない。日本も中国や韓国のように世界各国で警戒の対象になる可能性もある。海外渡航予定のある人は常に情報収集をしておくべきだろう。
高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』、近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレスなど。
@NatureNENEAM