北朝鮮大使館があるアセアン7か国中6か国に北レスがあった
北朝鮮がアセアン諸国で大使館を置いているのは、シンガポール、タイ、カンボジア、ベトナム、マレーシア、ラオス、インドネシアとなる。このうちシンガポールを除く国には北朝鮮レストラン(以下、一部北レス)が存在していた。
多くが国連制裁の強化で閉店を余儀なくされたり、北朝鮮人スタッフが撤退したりしたのだが、今回は、国連制裁とは別の理由で閉店したインドネシアの北朝鮮レストランを紹介したい。
インドネシアの首都ジャカルタ東部に「平壌レストラン」はあった。現在、グーグルのストリートビューで確認すると、営業中、閉店直後、そして現在の姿を確認することができる。
金正男殺害事件の実行犯のアジトとして名指し
金正男殺害事件の実行犯のアジトとして名指し
この平壌レストランが話題となったのは記憶にあるだろうか。2017年2月の金正男氏殺害事件でのことだ。事件後、ジャカルタ警察が、平壌レストランが実行犯の女性2人への指示役らが会合を開くアジトになっていた名指ししたことで一躍注目されることになった。
金正男氏殺害事件の騒動渦中だった翌月3月上旬には、平壌レストランは閉店していることが確認されている。事件から2、3週間後のことだった。閉店後に訪れるとピンクの外壁に「平壌レストラン」の赤い看板が掲げられていたが、閉店後は看板は外されて看板を設置していた金属枠だけ残り、店内のテーブルや器具もきれいに撤去されていた。
ちなみに隣は韓国焼肉店、徒歩圏内には中華レストランなどがある飲食店エリアに平壌レストランはあった。現在は、隣の韓国焼肉店と南北併合していることが分かる。文頭のグーグルマップ左側が元平壌レストランとなる。入り口の位置も改装されたようだ。
官営の色が強い北レスの北朝鮮人女性スタッフは公募で集められる
北朝鮮レストランは、中国を除けば、各国の北朝鮮大使館や領事館が経営に関与している。北朝鮮の大使館や領事館は自分たちの食い扶持は、自分たちで稼ぐことが求めらられているからだ、まさに“自力更生の精神”の実践を大使館や領事館へ求めているわけだ。そのため、北朝鮮レストランを国営と紹介するメディアやネット情報があるが、あながち間違いとは言えないことが分かるかと思う。ただし、働く北朝鮮人女性たちは大使館や領事館の所属ではなく、北朝鮮での公募に応じて派遣されて働いている。
金正男氏殺害事件が起こる前年までジャカルタには2店の北朝鮮レストランがあったが、16年に閉店し、北レスは平壌レストラン1店となっていた。
日本から自動車メーカーが多く進出するジャカルタ
人口2億6400万人を超えるインドネシアの首都ジャカルタは950万人を超える大都市だ。インドネシアには自動車メーカーを筆頭に日本企業も多く進出しており、インドネシア全体の在留邦人は、1万9612人(2018年10月1日・外務省)、ジャカルタのみの統計は発表されていないが、1万人を超える日本人が長期滞在していると推測される。外務省は、2014年まではジャカルタとして発表していたが、現在は南ジャカルタ(8268人・2018年)のみの発表となっている。
(続く)
Dugaan Markas Agen Rahasia Korea Utara di Jakarta – NET16
金正男氏殺害事件後、平壌レストラン閉店前の2017年2月末のインドネシアで報じられたニュース。