台湾やマレーシアメディアが北朝鮮での新型コロナウイルス感染者発生を伝える
台湾やマレーシアメディアが北朝鮮での新型コロナウイルス感染者発生を伝える
台湾の「壹電視(NEXT TV)」は、6日、北朝鮮で新型コロナウイルスによる肺炎患者が7人となっている(鎖國也沒用! 北韓爆7確診南韓2天增7例※動画あり)と韓国「聯合ニュース」の情報をもとに報じている。マレーシアの中国語新聞『星洲日報』も同様に北朝鮮で新型肺炎患者を確認との情報を報じている。
報道によると、新型肺炎患者が発生したため金正恩委員長が、朝鮮人民軍の冬季演習中断を指示して新型コロナウイルスの感染拡大を全力で防ぐように厳命を下したという。
また、星洲日報は、今月3日に北朝鮮初の感染者が確認され、感染経路は、いずれも中国から帰国した女性で、中国山東省の北朝鮮レストランで両替業務をしていた女性スタッフと北朝鮮領事館関係者の妻で、それぞれ帰国後に家族との濃厚接触により感染が拡大したと伝える。
ソースは韓国報道機関や団体。フェイクもどきが多い聯合ニュース
2月上旬に朝鮮半島の研究者が自身のユーチューブチャンネルで、北朝鮮にはすでに新型コロナウイルス感染者が23人いると発言している。動画の中で、ソースも明かしているが、「NK知識人連帯」の情報がもとになっているという。同連帯は、最近、健在が明らかになった金敬姫氏死亡説を主張していたこともあり、まるで「ゴシップ誌のようなネタ」で情報としての信憑性は低いと認識する北朝鮮研究者も少なくない。
今回の北朝鮮で新型コロナウイルス感染者7人確認も情報元が、聯合ニュースであることを考えるとそのまま鵜呑みにするのは危険ではないかと言える。
過去に聯合ニュースは、中国丹東のある特定の北朝鮮レストラン(以下、一部北レス)が閉店と大きく報じた当日に通常営業が確認されていたり、昨年も12月22日にカンボジアの北レス全6店閉店を確認と報じたが、実際は店内で密かに営業を続けていることが確認されるなど、本当に取材をしているのか疑うようなフェイクとも言える情報も少なくない。
新型コロナウイルス対策で入国後30日間隔離されるので帰国難民状態の北朝鮮人
現在、北朝鮮では、帰国者や入国外国人全員を30日間隔離する処置が実施されているとされており、国境を接する丹東などに滞在する北朝鮮人は帰国できない状況となっている。
2014年のエボラ出血熱での感染症防止のため入国者は北朝鮮人、外国人問わず数週間の隔離処置が取られている。そのため、北朝鮮人の中には帰国せず、中国側で滞在ビザを延長して隔離処置が終わるまで待っていたという事例がある。
現時点では、北朝鮮人に対する中国での労働ビザは発給されていないことになっているので、30日の観光ビザ(L)、学期に合わせて取得できる留学ビザ(X)、中朝国境エリアの住人限定で発行されている渡江証などで滞在していると見られる。
中国関係筋によると、この中で、もっとも調整しやすいのは最後の渡江証か、国境エリア外であれば、公用旅券が延長したりの調整が楽にできるだろうとの見方を示す。