閉店したはずの北レスが闇営業で密かに営業
昨年12月22日、国連制裁履行のデッドラインで一斉営業停止したとされる中国丹東の北朝鮮レストラン(以下、一部北レス)であるが、丹東関係筋によると、一部で密かに営業を続けていることが確認できた。意味は違うが「闇営業」といったところか。
北朝鮮レストランは、北朝鮮の外貨獲得の手段として注目され、2019年12月22日までに経済制裁の対象となった北朝鮮人労働者を全員帰国させることが決まっていた。
北朝鮮労働者を多く受け入れていた中国とロシアはともに国連制裁履行をアピールし、確かに「労働者」は帰国させたとなっているが、就労目的でなければ、制裁対象外となるため留学ビザや公用査証など他の在留手段を使って“合法的に”滞在するなどし丹東の北レスも継続されるだろうと予想されていた。しかし、その予想に反して一斉営業停止されていたのだ。
SNS拡散などもあり日本人に警戒
丹東の朝鮮族実業家によると、営業停止したはずの北朝鮮レストランが、正面ドアは施錠し明かりが外にもれないようにカーテンで隠してこっそりと営業しているのだという。
しかし、日本人観光客が闇営業の北レスで食事をするのは難しいようだ。
「店によって異なりますが、10人とかまとまった人数で事前予約すれば、裏口や別のドアから入店し、食事ができ、以前と変わらず歌や踊りも鑑賞することができます。ただし、1人や2人など少人数だと受け付けてくれないようです。また日本人は、マスコミへの情報提供やSNSへ拡散される恐れがあるので、断っていると朝鮮人マネージャーが話していました」(朝鮮族実業家)
国連制裁履行により北朝鮮人スタッフがどの程度減少したかは、現時点では定かではないものの闇営業の北朝鮮レストランは、各店舗の枠を飛び越えてスタッフをシェアするなどして目立たぬよう北レスを回しているようだ。
目立つ北レスから工場や会社などへ転籍?
「朝鮮レストランは、外貨獲得手段の象徴として注目される存在だったため対外的な目を意識しているようです。私が聞いた話では、丹東に滞在する朝鮮人の人数自体は大きく減っておらず、外国メディアに目立つレストランではなく、小さな工場や会社などへ『転籍』して活動しているようです」(同)
前出の朝鮮族実業家は、前回の2018年1月の国連制裁履行以降、丹東に労働ビザで滞在する北朝鮮人は、すでにいないだろうと話す。日本や韓国など海外メディアから注目されている今は、カモフラージュ的に北朝鮮レストランの営業を停止し、ほとぼりが冷めるまで身を潜めてから、何事もなかっかのように北レスも営業再開するだろうと話す。
もし、今、丹東で営業停止しているはずの北レスへ行ってみたいという人は、丹東の有力者や地元の旅行会社へ相談してみてはどうだろうか。幸運にも行くことができたなら、通常では体験できない非日常的な食事が味わえるに違いない。