日本語がデザインされたシャツが有名なタイ。中には意味不明なものも
日本語がデザインされたシャツが有名なタイ。中には意味不明なものも
タイではTシャツのデザインなどで日本語が描かれたものを見かけることがある。一方、エンターテインメント関連は、日本より強い韓国だが、看板でハングル(韓国・朝鮮語の文字)を見かけても、日本語のようにTシャツのデザインなどではほとんど見かけない。
タイの日本語シャツには、ただひらがなを羅列しただけの意味がないものから、意味は通じるものの、それだけでは、なぜそのデザインなのか意図が分からないものなど様々ある。最近よく見かけるものは、「つづく」、それから「大阪」と書かれたTシャツだ。オリジナルは不明だが、タイ全土で見かける意図が分からないものの人気デザインとなっている。
ハングルはタイ人の琴線には響かない?
日本語そのものは、和食ブームでさらに見かける頻度が全土的に高まっている。同時に、発展してきたタイ社会は国民の意識も変わりつつあり、海賊版や模倣品の肩身は狭くなってきた。それにも関わらず、地方の商業施設などでは権利関係に問題がありそうな日本のアニメの服や、意図のよく分からないデザインの日本語シャツなどがいまだに売られている。
タイ人からすると、日本語、特にひらがなが「かわいい」ということで、「ね」、「の」、「ぬ」などの丸がある文字が注目される。これらをタイ女性などは漠然と「かわいい」と思っているようだ。
その点で言えば、ハングルも丸と直線の組み合わせだが、日本語ほど響かない。ひらがなのように曲線の連続的な流れがなく、ハングルは記号の組み合わせといった印象がある。また、タイと日本の関係の時間的長さが圧倒的というのもあり、ハングルは、そもそもタイ人の中でぱっと思い浮かばないほど存在感が薄い。
K-POPや韓流ドラマは人気だがそれ以上に韓国を知ろうとする動きはない
K-POPや韓流ドラマは人気だがそれ以上に韓国を知ろうとする動きはない
日本の文化であれば飲食関係の他、ファッション、歴史、それから単語など、特に日本に興味がないタイ人でも何かしら知っていることが多い。韓国文化は、飲食でさえ現状は焼肉くらいしか周知されていない状態で、あとは「サムスン」や「LG」、「ヒュンダイ」といった企業名が知られている程度だ。K-POPや韓国ドラマは、連日タイのテレビを賑わせるが、なぜかそれ以上に深く韓国を知ろうという動きはタイでは、ほとんど見受けられない。
簡単に検索できる今でもTシャツ候補に挙がらないハングル
ローマ字が確立されている日本語なら、読めなくても発音さえ分かればパソコンでひらがなを打ち出すことは以前から難しくなく、デザインに取り込むことができた。一方のハングルは、そもそも単語自体があまり知られていないので、現在のネット検索ができる環境ならまだしも、過去にはそれすらも難しく、デザイン化できなかったのかもしれない。
しかし、ネットの自動翻訳で読めなくてもハングルを獲得できるようになったのに、そういったデザインはあまり見かけない。あくまでも質問に答えてくれたタイ人に限ったことかもしれないが、先述のように「韓国語の文字ってどんなのだっけ?」と言うほど、ハングルに馴染みがない。そのため、販売元も売れるデザインを考えると、ハングルがどうしても候補に出てこないのだろう。
高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』、近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレス
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