注目を集める2019年12月22日後の北朝鮮人労働者
北朝鮮の金正恩委員長が再び核開発とICBM発射実験を示唆するような発言が報じられて迎えた2020年。日本にってはオリンピックの年だが、北朝鮮にとってはどのような年となるのだろうか。
昨年の12月22日は、国連制裁による北朝鮮人労働者の完全帰国を完了させなければならないとされたデッドラインだった。
それもあり日本や韓国の報道機関は、例年以上に中国丹東へ注目をしていた。
KWTが報じたように今回の制裁対象は、あくまで「労働者」となる。留学生や技能実習生、観光客などは制裁対象外のためこれらの手段を使って中国には北朝鮮レストラン(以下、一部北レス)従業員を始め北朝鮮労働者が生き残る可能性が高いと伝えた。
丹東の北レスは全滅?大晦日の丹東駅には北朝鮮の若い女性の姿
丹東の北レスは全滅?大晦日の丹東駅には北朝鮮の若い女性の姿
この年末に丹東を訪れた人やカウントダウンツアーで丹東駅から国際列車で訪朝した旅行者たちからの報告によると、丹東で営業している北朝鮮レストランを見つけることができなかった。正確にはすべての北レスかまでは確認が取れていないが、断橋近くの「柳京飯店」、その対面の「丹東高麗飯店」、鴨緑江沿いの「松涛園飯店」は営業していなかった(12月28、29日、30日)
丹東の旅行会社へ確認すると、22日以降、これらの店が営業していたかは定かではなく昼間でも店内は暗かったと話す。
北朝鮮人労働者を象徴する場所が北朝鮮レストランと言っていい。目立つからこそカモフラージュで閉店して、一般的な中華料理店やカフェ、バーなどで散在させてひっそりと働いているのか。それとも本当にこのまま閉店なのか。
12月31日、丹東駅から平壌へ向かった旅行者によると、朝9時の丹東駅には大きなダンボール箱を5、6個カートで運ぶ北朝鮮人男性や若い北朝鮮人女性の姿が確認できている。目撃したのは、北朝鮮レストランで働いているような20代半ばの女性だった。
冬が厳しくオフシーズンの丹東では北朝鮮人が春まで帰国することも
もっともこの光景自体は毎年目にすることができる。そもそもこの時期の丹東や中国東北地方は日中でも零下という厳しい寒さの季節なので、地元の人間でも外食したり、外へ遊びに行かず自宅で過ごす人が多い。ましてや観光客はガクンと減る完全なオフシーズンだ。わざわざこの時期に中国人が観光で丹東を訪れることも少ないので、丹東などにいる北朝鮮人たちは、12月ごろに帰国して旧正月明けの2月ごろにまた戻ってくるという流れが定着している。
中国人観光客が丹東へやってくる3月ごろになったら再び北朝鮮レストランが何事もなかったように営業を再開しているのか継続取材していきたい。
瀋陽コリアンタウン高麗館・牡丹江の生き残りを確認
瀋陽コリアンタウン高麗館・牡丹江の生き残りを確認
一方、丹東から300キロメートルほど北に位置する瀋陽では、12月29日、コリアンタウン西塔、入口近くの大型店「平壌館」と「牡丹館」が営業していることを確認した。しかも北朝鮮人女性スタッフがいることも確認できている。
平壌館は、ランチ営業はしていないとのことだったが、牡丹館はランチ営業しており、朝鮮族の経営者が冷麺を食べている。北朝鮮人女性スタッフは6人ほど確認できたものの昼どきにも関わらず客はこの経営者と一緒に来店した客の2人のみだったとのこと。
北朝鮮人女性スタッフは、元旦(新正月)も春節も変わらず営業すると話していたそうだ。店自体に活気はなかったものの冷麺の味は、以前とそれほど変わった印象はないと朝鮮族経営者は話す。
ちなみに、寒さで言えば、瀋陽のほうが丹東よりも緯度が高く、しかも内陸に位置するためさらに底冷えする寒さだ。
現時点では、丹東の北朝鮮レストランの営業は確認できず、瀋陽も丹東同様にすべてはか分からないものの国連制裁デッドラインの22日以降も生き抜いて営業している店を確認することはできた。
北朝鮮領事館が置かれ空路の定期便がある瀋陽と、中朝貿易の7割を占める北朝鮮にとって最大の交易都市である丹東。この両都市の違いは一体なんなのだろうか。