特にバンやミニバンが人気の東南アジア

特にバンやミニバンが人気の東南アジア

ラオスの首都ビエンチャンとタイの地方都市を結ぶ国際バスもヒュンダイのエンブレム があった

 東南アジアの一般的な層には日本車がもっとも人気がある。欧州車に比べてブランド性は低いものの、価格は安く、安全性が高いこと、人気があることから再販価値も優れている。しかし、日本車を新車購入できる収入のある世帯が多くないこともあり、現実的に韓国車の方が近年は増えつつあるように見受けられる。

 たとえば、ラオスやベトナムなどでは、大型バスは多くが韓国車で、乗用車にも同国のブランドがよく見られる。特に東南アジアは全般的にバンあるいはミニバンに人気が集まる。

世界5位の自動車メーカー「ヒュンダイ」がシェアを伸ばす

 そんな中、特によく見かける韓国車が、「現代自動車(ヒュンダイ)」のバンだ。「スタレックス」あるいは「グランド・スタレックス」と呼ばれる車種がよく走っている姿を見る。廉価版は11人前後が乗れるタイプもあり、また上級グレードはVIPカーのように、企業の役員などが使うにふさわしい内装になっているので、目的によって選べる幅が広い。

 ヒュンダイは、日本では2010年に乗用車部門が正式に撤退しているため馴染みがあまりないメーカーではあるが、世界規模で見れば年間販売台数は「ホンダ」と同等レベルで、グループ全体の販売台数は世界第5位を誇るという。

 また、2014年には世界ラリー選手権(WRC)に復帰し、好成績を収めていることから若者にも注目され始めている。

タイでヒュンダイとトヨタの販売価格を比較してみた

タイでヒュンダイとトヨタの販売価格を比較してみた

トヨタの高級ミニバン。ネームバリューやリセールを考えると日本車の方が人気では あるが・・・・・・

 東南アジアで人気のヒュンダイを、タイ市場の価格を例に、日本車よりどれほど安いのか比較してみた。

 まず、グレードや外観からヒュンダイのグランド・スタレックスを購入検討する人が比較するであろう競合車種としては「トヨタ」が挙げられる。高級ミニバンとしてタイで正式販売が始まったばかりの「マジェスティ」、その兄貴分でよりラグジュアリーな「アルファード」だ。それぞれの価格は以下の通り。いずれも公式ウェブサイトに掲示されるスタンダード価格を参考にしている。日本円は1バーツあたり3.5円で見た。

●マジェスティ 170.9万バーツ(約598万円)~
●アルファード 374.7万バーツ(約1312万円)~

 ヒュンダイのスタレックスの低いグレードの方は、タイでは「H1」という名称で販売されている。こちらがマジェスティに対抗し、内外装が高級感を醸すグランド・スタレックスがアルファードに競合すると仮定しよう。価格は以下の通りだ。

●H1 132.9万バーツ(約465万円)~
●グランド・スタレックス 234.9万バーツ(約822万円)~

価格差はあるも性能向上で韓国車をチョイスする人が

価格差はあるも性能向上で韓国車をチョイスする人が

ベトナムの首都ハノイでもヒュンダイの乗用車をよく見かけた

 H1とマジェスティの間には驚くほどの値差はない。タイは中古車も価格が高いので、130万円程度の差でもう1台買えるとしたら程度の悪い中古車くらいだ。

 一方、グランド・スタレックスとアルファードでは、日本円で約500万円近くも差がある。ネームバリューとしてはアルファードの方がずっと高いのは間違いない。しかし、2015年以前は安全性の面などで韓国車の酷評記事がネット上で多かったが、2018年前後から評価が上がってきている。以前なら500万円の差は日本車を我慢するに値するか否か、検討の余地があるとするところだったろう。しかし、今は検討どころか、むしろ東南アジアでは、韓国車は「買い」と判断する人が増えてきている。

高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』、近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレス
@NatureNENEAM

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