国連制裁中の北朝鮮で再び中朝交易が盛んに?
北朝鮮発の交易が密かに盛り返している。中国が発表する中朝貿易額は大幅減と発表されているにも関わらず奇妙な話だ。
一部メディアで報じられた「かつら」(全頭タイプ)や「つけまつげ」などの生産、輸出は、比較的最近、始まったもので、国連制裁前から北朝鮮貿易で盛んに取引されていたのは服飾製品だ。
最大の貿易相手国である中国も国連制裁を履行し始めたことで国際的に注目されて一時期、鳴りを潜めていたが、ここへ来て再び復調の兆しを見せている。国連による経済制裁は依然として継続中にもかかわらずに…だ。
北朝鮮生まれ・育ちの中国人「華僑」
中朝貿易にかかわるのは、朝鮮族、中朝国境エリアを拠点とする朝鮮族以外の中国人などが多いが、中でも丹東で「華僑」と呼ばれるグループも中朝交易に大きく関わっている。
日本語の意味での華僑は、第3国、たとえば、マレーシアへ移住した中国大陸出身者(非帰化者)を意味する言葉で、現地へ帰化すれば華人と呼ばれる。
しかし、丹東で呼ばれる華僑とは、北朝鮮生まれや育ちの中国人を意味しており、国籍的には中国人となるが、言葉や文化、習慣は、中国人よりも北朝鮮人に近い人たちを指す。
中には母国語である中国語がほとんど話せず、片言の華僑もいるらしく、いわば、北朝鮮へどっぷり浸かっている中国人ということになる。
彼らの多くが北朝鮮ビジネスに絡んでいるという話は以前から耳にしたことがあったが、今回は、実際に布ビジネスを手掛けている華僑から話を聞くことができた。
北中韓合作チマチョゴリが韓国製として韓国で販売
平壌生まれの30代男性L氏は、チマチョゴリを平壌郊外で生産して、中国経由で韓国へ輸出しているという。
北朝鮮国内では、チマチョゴリとして完成させず、裁断し、生地へポイントとなる刺繍を施し、仮縫いの状態で中国へ運搬。その後、韓国へ生地として輸出し、韓国国内でチマチョゴリとして完成させている。そのため、メイドインコリア、韓国製として韓国で販売されて韓国人が買っている。購入者は、裁断などが北朝鮮で行われていることは知らないだろう。
L氏の知り合いの華僑で同じく布ビジネスを行っているい男性についても教えてもらった。
その男性は、ポジャギと呼ばれる朝鮮刺繍の製品を平壌で生産している。小さな作業所で北朝鮮の女性たちが韓国人の好みを満たすようなデザインの製品を日々作っているそうだ。
ポジャギは、厚みのある刺繍で日本人にも人気がある。ポジャギが入った布の財布、ストール、チマチョゴリ用の生地、小物入れ、掛け軸のように壁にかけるもの多種多様なものを作っている。
北朝鮮人女性は手先が器用で、応用力も高いとL氏は話す。
(続く)