今年春から日本人は不明瞭な理由でたかはしへ行けない
今年6月末に平壌で「日本料理たかはし」を運営する藤本健二氏が北朝鮮当局に拘束されたとの情報ともに同店も閉店したと報じられたが、その後、同氏の無事と同店の営業が確認(故金正日の料理人「藤本健二氏」が平壌の日本料理店で目撃。無事確認される)されている。
たかはしへの来店を希望する日本人旅行者は多いものの、今年4月ごろから希望したけど同店へ行けなかったという声が聞こえ始めた。この夏も訪問希望先として事前に手配代理店を通して伝えていたものの現地入りすると「行けない」と回答されているケースが頻発している。
8、9月に訪朝した日本人観光客によると、現地ガイドは、行けない理由を明確には説明せずにまるで触れたくない話題のように受け流しているという。中には「事前申請されていない」、「伝わっていない」と答えるガイドもいるなど何とも煮えきらず一貫性もない。
9月上旬に観光総局関係者が来店。日本人も行けると発言
9月中旬に中国を訪問していた北朝鮮のすべての旅行会社を統括する観光総局の担当者へ「日本人もたかはしへは行けるのか?」と確認すると、「日本人も問題なく行ける」と明言している。しかも、その担当者は、建国記念日(9月9日)直後に同店を訪れて藤本氏とも会ったと発言している。
また、中旬に平壌を訪れたヨーロッパ人のグループもたかはしで食事をして藤本氏の健在を報告している。
観光総局は、問題なく行けると回答するが、実際、日本人観光客を案内する現地ガイドは行かせないという対応に矛盾がみられる。
いずれにしても観光総局の担当者やヨーロッパ人観光客の話や報告からたかはしは営業しており、藤本氏も問題なく活動していることは事実のようだ。
なぜ曖昧なのか?明確に訪問NGと通達していない
そうすると、日本人はたかはしへ行かせない、藤本氏と接触させないとことになり、上記の参考サイトが伝えているように日本人リピート訪朝者や北朝鮮マニア(どうやって判断しているのか不明だが)は、行かせないという方針が実施されている可能性は高い。
だとしても、行けないなら行けないと対応を明確にしたほうがいいのではないだろうか。そうじゃなくても不透明な要素が多い北朝鮮旅行なので、「現在、日本人はたかはしへ行けません」と代理店へはっきりと通知すれば、諦めもつくってものだ。
日本料理たかはしは、2017年2月、前年8月に北朝鮮へ戻った藤本健二氏がオープンさせた寿司を中心としラーメンなど提供する高級日本料理店だ。藤本氏が北朝鮮へ戻った後の動静がしばらく途絶えていたので心配されたが、半年後に店を開業したことは、「NHK」でも報じられている。
日本人と藤本氏の接触に神経を尖らせる北朝鮮当局
しかし、たかはしのオープン当初から、いくらここが平壌とはいえ日本人同士になると、気が緩み北朝鮮であることを忘れ発してしまったお客の問題発言などに万が一、藤本氏がうっかり同調してしまったりしたら藤本氏の身の安全に支障が出ることも起こり得るわけで、日本人は安易にたかはしを訪れるのは、藤本氏のためにも止めたほうがいいとの声も挙がっていた。
北朝鮮情報は、各機関が喉から手が出るほど欲しい。例え書類上の身分が一般人となっている来店日本人が、日本側の誰とつながっているかまでは、北朝鮮側が調査するにも限界がある。そう考えると、北朝鮮当局が藤本氏と日本人との接触に神経を尖らせるのは当然かもしれない。