北朝鮮労働者完全帰国リミットまであと半年
2019年12月末までに国連決議により国連加盟国は、北朝鮮からの全労働者を帰国させなければいけない。そのリミットまで半年を切った。
中朝国境を接する中国の都市で最大規模を誇る丹東でもかつては多くの北朝鮮レストラン(以下、北レス)や北朝鮮企業、北朝鮮労働者を雇用する中国企業や中朝合弁企業の工場などが稼働する世界でも屈指のエリアだった。
2018年1月上旬の中国の国連制裁履行によって、中国で最盛期100店舗ほど営業していたとされる北朝鮮レストランは一時的に激減し、中国独資へ切り替えられた店を除き約半数ほどが閉店に追い込まれて消滅も時間の問題と思われていた。
しかし、それから1年半経過した現在、どうなっているかというと北レスは消滅どころかジワジワと復活しつつあることが確認できている。
北朝鮮人レストラン従業員は増えている
北朝鮮人レストラン従業員は増えている
丹東関係筋によると、北朝鮮人が取得する中国ビザ取得は減少傾向にあり、また更新できずに帰国する北朝鮮人が増えているいるため、かつて多数派だった衣類など縫製工場作業員などは減っているという。
その一方で最近、増えているのがレストランなど飲食店従業員だという。北レス自体は半減したが、既存店が北朝鮮人女性スタッフを雇用して北レスもどきになるところが出始めているからだ。
その1つが、丹東初の4つ星ホテルで、鴨緑江、中朝を結ぶ鉄橋「中朝友誼橋」のすぐ目の前にある「中聯ホテル」だ。
中聯ホテルは2000年、開業のホテルで、リバービュールームからは、中朝の鉄橋が目の前に見えるため日本のテレビ局など主要マスメディアが丹東中継を客室からしていることでも有名なホテルだ。
丹東老舗ホテルが北レス化
丹東老舗ホテルが北レス化
ホテルによると2015年に改修をしたとのことだが、ホテル開業後の丹東の発展とともに次々にオープンした新しい5つ星ホテルなどに比べると老朽化が目立ち、よほど思い入れがある一部旅行者を除くと利用したとの声はあまり多くない。
そんな中聯ホテル1階奥にある最大240席を誇る宴会場を兼ねる滿江紅中華レストランが北朝鮮人スタッフを雇用し、ステージショーなどを披露すると告知したのだ。ただし、料理は、丹東を代表する川魚やシャコ、貝などを使った海鮮料理をメインとした中華レストランで、そこへ北朝鮮人スタッフが勤務するので、厳密には北レスではなく、中華レストランの北レス化と表現するほうが正しい。
このパターンだと中国独資レストランに外国人スタッフとして北朝鮮人を雇用したことになるので合弁企業でも北朝鮮資本企業でもないため国連制裁には抵触しない。
(続く)