オーストラリア人留学生の男性が連絡を断つ
北朝鮮最高学府である金日成総合大学へ留学中のオーストラリア人男性が連絡を断ったため当局に拘束されたのではと報じられている。
先月、日本で行われたG20大阪サミットへはオーストラリアも参加していたので、トランプ氏へ何かしらのメッセージを託したかとも思われたが、6月30日史上初の板門店での米朝首脳会談後にも話題に上がっていないため、拘束ではないとの見方も浮上している。
日本人女性と結婚。披露宴は平壌で行う
北朝鮮へ留学する外国人がどの程度いるかは定かではない。国別では中国人が一番多いとされ、元々親交があるアフリカなどのいわゆる第三国からの留学生なども在籍し、最近では、マレーシア人やシンガポール人留学生が平壌から発信する動画などを目にすることはあるが、それほど多い人数ではないと思われる。
連絡が途絶えたとされるアレック・シグレ氏は、上海留学中に知り合った日本人女性と2018年に平壌で結婚式を挙げている。平壌で留学生生活を送りながらオーストラリアや日本などへも行き来していたという。
アレック氏は、日本のビジネスサイトへのインタビューにも登場しているし、『朝鮮日報』(「金日成綜合大現役留学生が語る“平壌”」)にも留学生活や日本人女性との結婚までの経緯、平壌での結婚式になどを写真付きで報じられているくらいなので、しっかりと関係者たちとコミュニケーションをとり情報を得て慎重に行動していたと考えられる。にもかかわらず何かしらの行動が北朝鮮当局に疑念を持たれたのだろうか。
日本語対応できる異彩を放つ旅行代理店を経営
日本語対応できる異彩を放つ旅行代理店を経営
またアレック氏は、オーストラリアで在学中の2013年に北朝鮮専門旅行会社「トンイル・ツアー」を立ち上げている。同社は、中国を除けば世界で唯一日本語でも対応できる北朝鮮ツアーの代理店として日本人旅行者には知られている会社だった。
英語圏向けのツアーだと、「高麗ツアーズ」(中国・北京)や「ヤングパイオニアツアーズ」(同・深セン)、「チュチェトラベルサービス」(英国ロンドン)などが知られており、いずれも日本人も参加できるもののグループ旅行がメインとなる。そんな中、トンイルツアーは、英語圏向けのグループツアーも実施し、日本人1人でのツアーも手配できるなどかなり特異な旅行会社だった。
アレック氏拘束かの一報後に同社サイトを見ると、日本人向けツアーは停止しているとのメッセージがトップ画面で表示されるようになっている。しかし、文面から察すると昨年から表示されていたようにも思える。日本語ができる代表であるアレック氏が留学中で不在なため受付を停止したのかもしれない。
どんな行動が問題視されたのか?
どんな行動が問題視されたのか?
「彼は盛んに平壌からインターネットで情報発信していたようですが、もしかすると、発信してはいけないものを発信してしまったか、日本で接触するべきではない人との接触が朝鮮にバレたなど行動を問題視されたのかもしれません」(丹東と平壌を往来する中国朝鮮族の貿易商)
北朝鮮で拘束と聞くと、昨年8月の杉本氏や2016年1月のオットー・ワームビア氏の件が頭をよぎってしまう。単なる通信問題等で発信が止まっているだけであって無事であることを願うばかりだ。
Yuka and Alek’s Pyongyang Wedding 2018