トランプ大統領が拉致被害者家族と面会

トランプ大統領が拉致被害者家族と面会

トランプ大統領が拉致被害者家族と面会

 令和最初の国賓として来日したトランプ大統領は、5月27日午後、東京都港区の迎賓館で安倍首相とともに約40分間、拉致被害者の家族15人と面会した。トランプ大統領は前回2017年11月に来日した際にも拉致被害者家族と面会しており、今回で2回目となる。

 席上、トランプ大統領は、「拉致問題はいつも私の頭の中にある。ぜひ解決したい」などと家族に寄り添ったコメントを述べた。会見後、出席した横田早紀江氏(横田めぐみさんの母)が「職業的対面でなく、独特の温かさと信頼感を持った」と語るなど、参加者らはトランプ大統領に好印象と期待感を抱いたようだ。

 また、トランプ大統領は、日米両首脳による27日の共同記者会見でも、「米国は拉致問題など、安倍首相が特に重要視している問題について協力する用意がある。米国は拉致被害者を帰国させるためのすべての取り組みに協力する」と述べるなど、拉致問題解決に向けて意欲を示した。

北朝鮮の拉致問題に対する最近の主張

 北朝鮮は、トランプ大統領が拉致問題を取り上げたことについて直接言及していないが、拉致問題をめぐっては連日にわたり日本を非難している。

 「日本の反動層が拉致問題解決の騒動に熱を上げる目的は、日帝が働いた前代未聞の血生臭い過去の犯罪に対する歴史的責任を回避するとともに、自分らの対朝鮮敵視政策を正当化するところにある」(5月26日『朝鮮中央通信』)

 「(今月、特定失踪者に認定されていた男性が日本国内で見つかったことを受けて)行方不明になった者を意図的に我々と結び付けたことは、我が国への企みである」(5月27日『労働新聞』)

 「日本は日中戦争が始まった後だけでも840万人の朝鮮人を拉致して戦場や工場に送り出した。日本は過去の罪を清算する考えがまったくない」(5月27日『労働新聞』)

 これらの非難は、「日本は自国の過去清算を十分に行わないのに北朝鮮に拉致問題解決を迫っている」という趣旨のものであるが、日本側がトランプ大統領に拉致問題解決を訴えることをけん制する目的もあったとみられる。

 北朝鮮にとって米国との交渉テーマはあくまで朝鮮半島の非核化および平和条約である。日本側の働きかけによりトランプ大統領が拉致問題を積極的に取り上げれば、停滞中の米朝交渉がさらに阻害されるという懸念があると考えられる。

 ところで、安倍首相は共同記者会見上で「日米の立場は完全に一致している」と強調したが、5月の北朝鮮による短距離弾道ミサイル発射に関しては日米間で認識に隔たりがあると指摘されている。

(続く)

八島 有佑

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