中国人もスパイ容疑で拘束。若い女性が多い
中国人もスパイ容疑で拘束。若い女性が多い
北朝鮮で日本人観光客が拘束されている問題で、日本と北朝鮮が対立状態にあるから狙われたという報道も見かける。確かにそれも否定はできない。日朝交渉の何かしらの材料に使う目的もあるかもしれない。しかし、中国の北朝鮮情勢に精通した関係筋によると、北朝鮮でスパイ容疑で拘束されるのは、何も日本人やアメリカ人などだけではない。中国人もスパイ容疑で拘束されているのだ。
もちろん友好国とされる中朝なので、北朝鮮で中国人がスパイを働き拘束なんて中国国内で報じられたことは当然ながらない。多くが拘束期間は短く、形式上の裁判を受けさせられて罰金と強制送還、再入国禁止処分を受けている。
前出の関係筋によると、スパイ容疑で拘束された中国人にはある共通したパターンがあるという、まず女性であること。しかも20代など若く、過去に訪朝経験があり初訪朝ではないこと。さらに漢民族など朝鮮語が話せない非朝鮮族なんだという。その方が北朝鮮側も油断するから監視も緩みそうだ。
拘束された場面は、ガイドなしの単独行動が多く、中国人のツアーで利用される羊角島ホテル、西山ホテル、青年ホテルなどで早朝にホテルを抜け出して周辺の軍事施設や労働党関連の建物などを撮影をして拘束されているとのこと。
早朝ガイドを巻いた単独行動で拘束
西山ホテルや青年ホテルはやや郊外とはいえ街中にあるが、羊角島ホテルは大同江の中洲にあるのでホテルを出て早足で10分以上は移動しないと建物らしい建物はない。それでも羊角島ホテルから抜け出した中国人がスパイ容疑で拘束された事例もあるようだ。
では、その撮影を中国の誰が依頼したのかだが、残念ながらその点は謎のベールに包まれており不明だ。はたまた、日本や世界中で問題になっているユーチューバーのように珍しい動画を撮影して収入に得たいと考えた行動だった可能性もゼロではない。中国では「You Tube」は規制されてアクセスできないが、動画投稿のPV数で稼ぐ中国版ユーチューバーは存在し、彼らによる無茶な行動が社会問題になっている。
ただ1つ言えることは、拘束された中国人女性たちはいずれも撮影などが手慣れていたようで一定のスキルを身につけていたようだ。とは言っても平壌のホテル周辺に外から簡単に重要情報が写せるような施設や拠点があるとは考えづらい。しかし、北朝鮮では、ガイド(案内人)なしでの単独行動は事実上禁止されているため、ガイドを巻いて単独行動をしただけでもスパイ嫌疑がかけられる恐れは十二分にある。