前回の北京訪問からわずか1か月での再訪中。大連は一般的な交通規制で大連市民は誰も気づかず
前回の北京訪問からわずか1か月での再訪中。大連は一般的な交通規制で大連市民は誰も気づかず
金正恩委員長が5月7、8日に中国遼寧省の大連を訪れ2度目の訪中を果たし習近平主席を会談した。韓国発で日本に第一報が報じられたのは滞在2日目の8日昼前で主な日程を終えて帰国直前だったと考えられる。
今回の訪中は中国政府が韓国政府へ事前通告していたという。しかし、韓国発で金正恩委員長の2度目の訪朝が報じられたのは訪中後だったため韓国政府が何かしらの配慮して情報公開を遅らせた可能性が高い。
前回は首都北京、今回は大連。なぜ大連だったのか。当初は、大連で建造が進む中国の事実上の国産空母1号の試験運転式典への招待などととも報じられたが空母関連の話も映像も現時点では公開されていない。
報道が出てから大連在住者へ連絡すると、「確かに昨日は交通規制は敷かれていましたがそれほど大規模なものではなく、年1回あるような北京からの最高指導部の大連入りやダボス会議など国際的なイベントの際に実施されるものと同レベルだったのであまり話題にもなりませんでした」と話す。
北朝鮮の最高指導者の大連訪問は8年ぶり。金正日総書記の時との違いとは?
この20年で北朝鮮の最高指導者が大連を訪れたのは2010年5月の金正日総書記以来となった。2010年の金正日総書記のときは鉄道で丹東へ入国。鉄道車両へマスコミの目を引きつけておいて、金総書記らは車へ乗り換えて自動車で大連入りをしていた。当時の交通規制は大規模で通行する30分前には、これも撹乱させるための意図もあってか複数か所で同時に交通規制を実施していた。そのため、多くの大連市民が影響を受けたので一般市民の間でも北朝鮮の最高指導者が大連に来たと話題に上っていた。
しかし、今回は、中国を出国した8日の午後3時(日本時間午後4時)すぎまで大連では話題にならず普段通りの日常だった。当然ながら中国管制メディアでは金正恩委員長おろか、習近平主席の大連訪問も一切報じていない。「微博(ウェイボー)」や「WeChat」など中国のSNSで7日に大連空港から走り抜けていく高級車の車列を写した動画が一瞬上がるもほどなくして一掃され姿を消している。誰にも気づかれない、つまり、それだけ中国政府による情報統制が精度を高め、政府の意図通りに情報をコントロールするシステムが確立化したことを意味する。
金正恩委員長の滞在先は大連の迎賓館。海辺で周囲が森に囲まれた完全封鎖が容易な環境
金正恩委員長の滞在先は大連の迎賓館。海辺で周囲が森に囲まれた完全封鎖が容易な環境
8年前の金正日総書記の大連訪問との違いは宿泊先にもある。金正日総書記は大連最大のビジネス街人民路の5つ星ホテル「大連富麗華ホテル」に宿泊。ビジネス街の一等地で道路や周辺の高層ビルから富麗華ホテルは丸見えの場所だったので大規模なエリア封鎖が実施されたので余計に目立った。
8年後の金正恩委員長は、大連市の東南部の「棒棰島」という政府の迎賓館として利用される場所で中朝首脳会談を行い、宿泊している。ここ棒棰島は、いわゆる海辺の保養地で、森の中にある施設なので完全封鎖が簡単で、大連の中心部からノンストップで自動車を飛ばしても30分以上かかる静かな場所なので大連市民が誰も気づかなくても不思議ではない。