朝鮮族医療関係者が見たコロナ後の日本の光景
3年ぶりに東京へやってきて見た変化は、あまり日本人では気づかないものかもしれない。
中国朝鮮族で医療ツーリズムなど医療サービス業を営むXさん。
新型コロナウイルスによる入国規制が緩和された2月末、3年ぶりに訪日して提携医療機関へあいさつ回りをしていた。
「久しぶりに東京で地下鉄やJRに乗ったら車内で飲酒している人が増えたなと思いました。以前にも深夜帯には見かけましたが、人数自体が増えたのと、コロナ禍前だと中年男性が中心だった印象から若い男性や女性が1人で500ミリリットルの缶チューハイを飲んでいる姿を見て驚きました」
Xさんは新型コロナによる日本人のメンタルへ影響の1つではないかと語る。
日本は世界的に飲酒について寛容な国だ。
アジア・オセアニアでアルコールの販売規制や飲酒の制限があるのは、タイやシンガポール、インドネシア、オーストラリアなどが知られている。
タイは販売時間が決まっていたり、禁酒日があったり、公園や駅、電車内などでの飲酒が禁止されている。
一方、日本には規制はない。中国や韓国もない。買う気になれば、24時間アルコールを買うことができ、マナー違反なだけで、バスや電車内で飲酒しても法律違反ではない。
「東京の電車なんて1駅1駅が短いので少し我慢すれば、すぐに駅に着いてお酒を飲むこともできるのでしょうが、わざわざ車内で、しかも1人で飲むところに精神的な影を感じますね」(Xさん)
ちなみに、中国の市内バスや電車では、何かを食べている姿は見かけるが、飲酒している姿は少ない。
その理由は、泥酔して寝入ってしまったりすると、あっという間に盗まれるからだ。基本的にバスや電車を1人で乗車する人で寝る人はいない。
中国も日本もスマートフォンに夢中になっている車内光景は、一見すると同じであるが、周囲を強く警戒して身の回りのものをしっかりと守っている点は、日本とは大きく異なっている。