旭日旗の排斥運動と同じ手法で狙う日本海の駆逐
韓国 竹島不法占拠を隠蔽するため“東海”主張 世界5割が併記に1の続き。
こうして30年近くに及ぶ韓国のゴリ押しは徒労に帰したわけだ。
しかし、韓国側の受け止め方はそうではなかった。
新しいデジタルデータ版のガイドライン「多角化された世界の海域の区分け」(S-130)では、日本海の名称も消えたとし、これからはかえって“東海(トンヘ)”の名前を広める好機がやってきたと考えていた。
つまり、彼らにとって日本海の名前を消すことこそが重要であり、そのためには、世界中で出版される地図帳や地球儀、教科書などの出版物やネット上での地図表示に日本海、「Japan Sea」、「The Sea of Japan」の文字を見つければ、大量の抗議文やメールを送りつけて“東海”、「East Sea」への変更、あるいは併記を要求する。
その手法は、旭日旗の排斥運動とまったく同じで、こうしたいわば「国民運動」によって、“東海”を普及させることで日本海表記の駆逐を狙っているのである。
世界の地図で「“東海”併記」が50%近くに
その運動の中心になっている東海研究会会長のチュ・ソンジェ慶煕大学教授によると、「韓国政府が在外公館を通じて調べたところでは、各種世界地図や教科書での『東海併記』率は今や50%近くまで増加している」と豪語するほどだ(ハンギョレ新聞2022年10月5日)
しかし、ここまで国民的エネルギーを注ぎ込んで、“東海”の名前を広めることで、韓国と韓国民が得られた実質的な利益やメリットとはいったい何なんだろう。
“東海”などという世界中どこにでもある、ありふれた名前にここまでこだわり、その普及に莫大なコストと時間をかけ、国民全体のエネルギーを注ぎ込む韓国とは、何とも不思議な国だというイメージを世界中の人々に残しただけではないか。
“東海”主張の裏にある竹島問題
ところで、「竹島問題」を追究している下條正男拓殖大学教授は、「日本海を“東海”に改めよ」という韓国の主張の裏には、韓国が不法占拠する竹島問題があると断じている。
竹島の日本への編入も日本海の表記が一般的になったのも、日本の植民地支配の結果だとする歴史を捏造し、竹島の不法占拠を正当化し、竹島問題を封印する手段として“東海”を利用しているというのだ(島根県Web竹島研究所「実事求是第35回~竹島問題の封印策としての『東海』呼称について」)。
確かに自分たちの領土だと主張する“独島”(竹島)が日本海の中にあるのでは示しがつかない。
しかし、世界の人々は、韓国人の“東海”という主張の裏に、日本と争っている竹島問題があることなど知る人は少ないだろう。
日本は、韓国のそうした隠された野心も含めて、国際社会に向かって堂々と説明し、“東海”という正当性のない主張を論破していく必要がある。
小須田 秀幸(こすだ ひでゆき)
NHK香港支局長として1989~91年、1999~2003年駐在。訳書に許家屯『香港回収工作 上』、『香港回収工作 下』、パーシー・クラドック『中国との格闘―あるイギリス外交官の回想』(いずれも筑摩書房)。2019年から2022年8月までKBSワールドラジオ日本語放送で日本向けニュースの校閲を担当。「ノッポさんの歴史ぶらり旅」をKBS日本語放送のウェブサイトとYouTubeで発表している。