海底ケーブル切断でイントラネット化する中国
台湾の中央通信は、2月上旬に台湾本島と離島を結ぶ海底ケーブル2本が切断され、台湾当局は、中国の船舶が損傷させた疑いがあるとみて調べていると報じた。
切断されたのは、台湾本島から約210キロ・メートルほど離れた中国大陸に近い馬祖列島とを結ぶ海底ケーブルだ。台湾が実効支配しているが、地理的には中国福建省福州市に近い。
切断は2日夜と8日昼、いずれもこの時間帯に通過した船舶情報から中国の漁船と貨物船が関わった疑いが高いとみているようだ。
この報道を見て、17年前の中国での通信障害を思い出したという人がいる。
2006年12月、台湾南部での地震で中国への海底ケーブルが損傷し、中国国内のインターネットが非常に低速になり、イントラネット状態になったことがあった。
日本など海外サイトはつながりづらく、業務に大きな影響が出たという。
まるで90年代のダイアルアップ回線での深夜の「テレホーダイ」を思い出すような感じだったと体験者は振り返る。
中国はこの切断後、国境を接する陸路にも通信ケーブルを張るなどリスク分散を進めたとされる。
しかし、現在でも海外とを結ぶ主要な通信ケーブルは海底ケーブルで、中国への海底ケーブルは香港、福建省、上海あたりの主に3か所に集約されている。
そのため、これらの回線が切断されると、中国のインターネットは、世界最大のイントラネットとなってしまう可能性が高い。
実は、これを中国政府は自作自演で行い、台湾や米国とせいにして外からの情報を合法的に遮断することを考えているのではないか、と福建省厦門などに10数年住んでいた日本人は語る。
「住んでいた10年ほどで年々日本など海外サイトは規制されて、負荷がかけられました。インターネットのスピード自体は驚くほど速くなりましたが、それは国内サイトの話で、もはやVPN(仮想プライベートネットワーク)なしでは業務にはならない環境が完成しちゃっています」
台湾沖の海底ケーブルが切断されれば、当然VPNを使っても海外サイトは閲覧に支障が出るくらい超低速となる。
今回の台湾の通信ケーブル切断は、中国の巨大イントラネット化計画への予行練習だったのかもと前出の日本人は話す。
果たして、そんなわけあるか…と言い切れる材料はあるだろうか。