巨額賠償金など結果は保護者や学校へ刺さる
寿司テロとも呼ばれるスシローペロペロ事件は、中国へ意外な影響を与えるかもしれない。
スシローペロペロ元高校生が、訪日する中国人のマナーアップへ貢献するという記事を書いたが、その理由を説明してみたい。
現時点の報道によると、この元高校生と共犯とみられる撮影者、アップロード者は不起訴になると言われている。
しかし、被害企業から巨額の賠償金が科される可能性はあるとされる。日本の過去の慣例を打ち破って、仮に請求した賠償金額を公開し、本人や家族が何年かけてどうやって返済していくかを広く公開するとする。
この点は日本も同じだが、軽はずみないたずらが人生を終わらせる結果となったという情報は、迷惑行為をするような人間にはまったく刺さらない。
そもそも報道等を見なかったり、自分の行いが迷惑行為だと認識していないので、情報自体が目に入らない。抑止力は限定的だろう。
抑止力として働くのは、本人ではなく保護者や監督者だ。もっとも、すでに成人しちゃっているような者は救いようもないが…。
家庭内教育や、情けない話だが学校での教育へ反映されて再発防止の効果が期待できるのかもしれない。
手配した旅行者が問題を起こすと旅行会社が罰を受ける中国
さて、中国の場合はどうか。
本人たちへ直接刺さらないのは中国でも同じだが、中国の場合は、訪日団体旅行から個人、出張、親族訪問など、すべてのビザ申請は指定の旅行代理店を通して、日本大使館や領事館へ申請する特殊な仕組みとなっている。
かっこよく言えば、オーナーシップ制であるが、平たく言えば、ビザを手配した中国人が、日本で何か問題を起こしたら手配した旅行会社が責任を取らせられる仕組みとなっている。
たとえば、近年は日本の経済力低下で少なくなったが、日本到着後に行方をくらますケースだ。旅行目的ではなく、不法労働目的での来日だったわけだ。
このようなケースが発生すると、旅行会社は中国政府から罰金や年間で割り当てられた許可人数を減らされたりのペナルティーを受ける制度となっている。
中国の旅行会社にとっては、民主主義国ほど利幅が大きく、独裁国家や権威主義国家ほど、相手国の利益が大きく旅行会社の利幅は少ない傾向にある。
そのため、中国の旅行会社としては、利幅の大きな日本や韓国、欧米、タイなどの許可人数を1人でも増やしたいと考えるわけである。
許可人数死守のため“お客教育”へ力を入れる?
中国のSNSでも「寿司郎peropero事件」など日本語のままハッシュタグになるなど、残念な状態ではあるが、この事件での賠償金など科される罰に旅行会社は、高い関心を持っている。
旅行会社としては、許可人数を減らさないために手配する旅行者への徹底した事前説明をするためだ。
しかし、それでも中国人旅行者は日本や現地国で問題を起こす。
万が一、大きなペナルティーを科せられると会社存続に関わりかねない。特にコロナ禍の3年間で旅行業界自体がボロボロで体力がない。だから、より必死に“お客教育”をすると思われる。
結果、中国人のマナーアップへつながるであろうと予想されるのである。
スシローや資さんうどんなど、一連の迷惑行為を受けた被害店による厳しい対応は、マクロ的に日本の国益になるのではないだろうか。