韓国旧正月で炎上
中国政府は29日、発給を無期限で停止していた日本人向けのビザ発給を再開した。理由は明かされていない。
一方、同時に発給停止になっていた韓国人向けのビザ発給停止は継続された。
日韓で差をつけた今回の対応は、中国共産党が党益のために内政利用しているという見方もできるが、中国のSNS上では、「春節(旧正月)を奪った恨み」という声が散見できる。
この恨みとは、英国・大英博物館が現地時間12日のツイートが発端となっている(現在確認できない)。
20日に大英博物館で開催する予定の「Celebrating Seollal」という韓国の伝統音楽・舞踊公演イベントの告知だったようだ。ソルラルは韓国の旧正月を意味する。
大英博物館はこのツイートの中で、韓国旧正月「Korean Lunar New Year」と説明している。
この説明に対して、中国の一般通信回線では、遮断されてアクセスできないはずのツイッターヘ、中国人と思われるユーザーから「旧正月は中国発祥だ」というクレームが殺到して炎上したことを指していると思われる。
Happy #NewYear! 兔年快乐,万事如意
2023 is the Year of the Rabbit 🐰 People born in the Year of the Rabbit are said to be gentle, modest and kind.
This Qing-era portrait shows a Chinese beauty gently holding a rabbit 🐇 https://t.co/bYSXflliHu #ChineseNewYear pic.twitter.com/b0D78I3f7e
— British Museum (@britishmuseum) January 22, 2023
コメント欄で元の12日のツイートのキャプション画像が確認できる
官製メディアがお墨付きを与えてヒートアップ
春節前日の21日の除夕(大晦日)に中国共産党機関紙の環球時報が取り上げて、“攻撃してよし”とのお墨付きを与えてさらに炎上はヒートアップ。
大英博物館は、中国をフォローするようなツイートを22日にしているが、炎上は収まっていない。
韓国は、大英博物館に対して頭に韓国を入れてほしいと強くこだわり、大英博物館も何も考えずに入れてしまったのだろうと思われる。
ちなみに、旧正月の起源論・呼称問題は、今年いきなり始まったものではなく、ここ数年、この時期になると毎年のように起こっている風物詩だ。
これを官製メディアである環球時報が、取り上げて官製炎上させたということは、この件も韓国人向けのビザ発給停止の理由にして政治利用していると考えられる。
まあ、日本にとってはどうでもいいことだろう。
しかし、日本の最近のメインストリームメディアを中心とした春節についての報道姿勢に違和感を感じる人はいないだろうか。
たとえば、少なくても10年前まで春節、春節と日本のメディアは今ほど連呼していなかった。
ミスリードされる日本人
中国の主張によれば、旧正月を祝う習慣は古代王朝から存在していたという。
しかし、春節という呼称がいつ頃から普及したのかは、いまいちわからない。
旧正月を春節と正式に決めたのは、中華民国が1914年1月のこと。その後、中国共産党は中華人民共和国が建国される直前の1949年9月27日に決定している。
台湾の主要メディアを確認しても、春節が使われているのは、中華民国が最初に定めたことが影響していると考えられる。
習慣としての旧正月は、古代から存在するが、呼称としての春節は、少なくも中華民国以降となる。
ならば、日本で伝える時には、「中国の旧正月である春節」など補足するべきなのではないか。
つい最近まで、ほとんどのテレビや新聞は、中国共産党の機関紙・人民日報を中国の新聞とだけ伝えていたので、日本人の感覚で読売新聞のような「普通の新聞」と勘違いさせていた。
同じく、中国人民解放軍も国軍のように思われがちであるが、中国共産党の党軍なのが事実である。だから、平気で国民を…なんて指摘もある。
春節についても面倒であっても、正しく補足して伝えないとミスリードになるのではないだろうか。