中国による韓国報復の理由の1つが消失?
「中国の恥さらし。帰ってくるな」という厳しいコメントが書き込まれるのは、今月3日に韓国入国時の検査で新型コロナウイルスへの陽性になったにもかかわらず、隔離先のホテル到着後に逃亡して拘束された40代の中国人男性のことだ。
男性は、14日に中国へ強制送還されていたことがわかったと韓国メディアが報じた。
韓国メディアによると、6日の拘束当時、韓国政府は、男性に対して感染病予防法に基づき、1年以下の懲役、あるいは、1000万ウォン(約106万円)以下の罰金に処す方針を示していた。
しかし、男性に対して処罰は科さず、9日に仁川出入国保護所へ身柄を送り、取り調べ後、14日に強制送還した。
男性には、1年間の入国禁止と再入国した時には起訴する旨を伝え、男性は、同意したという。
なぜ、この問題を取り上げるかと言えば、中国政府はこの件を理由の1つにして、韓国が中国人へ差別的な対応をしているとして、“対抗処置”と称してビザ発給を停止したからだ。どさくさに紛れて日本も加えた。
日本在住の中国人女性で、日頃から中国の情報をSNSから得ている汪さんは、この時、韓国批判が席巻していたと話す。
内容は、陽性時の扱いが非人道的、掘っ立て小屋みたいな隔離施設、動物の餌みたいな粗末な食事、さらに隔離費用は全額陽性者(中国人)負担で、しかも高級ホテル並の費用が徴収されると。
これらを盛んに発信していた官製メディアだけでなく、インフルエンサーによる猛烈な韓国バッシング投稿を見て、「中国が報復処置をするのは韓国だけだ」と思っていたが、中国政府は、韓国と同時に日本も報復処置を実施したので、非常に驚いたと汪さんは話す。
中国人の強制送還を伝える中国のSNS投稿には、中国人男性への批判のほかにも「韓国なんて観光する場所がない」など半数ほどは、韓国批判も確認できる。
中国当局はバランスを考えてコメントを残していると思われる。
今回の強制送還は、韓国が中国への一定の配慮を示したとも言えそうだが、中国に何か動きはあるのだろうか。