都市部ではすでにピークアウトか
日本政府は8日から中国からの入国者への水際対策強化を発表した。
英国医師会雑誌は3日、英医療調査会社エアフィニティの報告に基づき中国の新型コロナウイルスの感染見通しを伝えた。
報告によると、北京や広東省は13日に最初のピークを迎え、1日の新規感染者数は370万人。3月3日に農村部でのピークを迎え、1日の新規感染者数は420万人に達するというものだ。
しかし、中国在住者へ取材すると、北京や主要都市では、とっくにピークアウトしているのではないかとも思われる。今や発症していない人のほうが珍しいという状況だ。
確かに、地方都市や農村部では、これから爆速感染の波が襲いかかると思われるが、それも1月22日に迎える春節(旧正月)での都市から地方への大移動で起こり、オミクロン株の発症までの平均潜伏期間(NHK報道BA.5で2.4日。変異するごとに短くなる傾向)を考慮しても、1月末にはピークアウトするのではないだろうか。
中国ではすでに全人口の80%、12億人が感染・回復済みだと仮定すると、春節の大型連休の頃には、集団免疫を獲得している可能性がある。
日本の陽性者の割合は、全人口の約25%(3年間合計・無症状者含む)。だから、異次元なのだ。
「陽性になった?」があいさつに
「ゼロコロナの時は新型コロナ陽性になると、隔離施設へ強制移動させられたり、自宅に住めなくなったり、職場や学校にも知られるのでビクビクしてました。陽性者は回復して陰性になっても社会から村八分にされるので、みんな必死に隠していました」(遼寧省瀋陽の中国人男性)
それが、ゼロコロナ政策解除後は一変したという。
現在は、あいさつで「陽性になった?」と確認し、「陽性になったよ」というやり取りが昨年中旬以降、日常的になっている。
「今は感染したのが普通になって、それが逆に安心材料のようになっています。PCRも抗原検査もやっていないので、ただの体調不良も新型コロナと言い合っています。むしろ、感染していないほうがおかしいと思われる状況です」(同)
この激変に、多くの中国人は戸惑っているようだ。
水際対策には限界が。現実的な対策とは?
中国は8日に出入国規制を緩和する。それに対して、日本や主要国では警戒を高めている。
日本でも「モロッコのように中国からの入国者は全面禁止するべきだ」という強行意見も上がっている。
しかし、3年前の経験からも、水際対策には限界があることは明らかだ。
であれば、たとえば、せきやの頭痛、倦怠感など風邪のような自覚症状があるにもかかわらず、日本へ渡航して陽性になるような悪質だと判断されるケース限定で、隔離や治療費を自己負担させるとか。
または、タイのように中国からの入国者は、全員一定金額以上の海外旅行保険加入を必須にするなどはどうであろうか。
これなら、どの国でも実施している対策なので、日本でも実施できるのではないだろうか。
もっとも、個別の国限定での対策だと「差別だ」という声が不思議なことに日本国内から先に上がりそうだ。
中国の現状に合わせた現実的な対応は、中国人にとっても安心安全にもなるだろう。
なによりも、日本へ行けば隔離費用も治療費もすべて無料だと邪(よこしま)な目的で訪日するような中国人への抑止になると思われるのだが。