ネット愛国者はピンクちゃん?
「XBBは米国が中国へ持ち込んだ」という陰謀論者にも失笑されそうな投稿が、中国SNS微博(ウェイボー)には確認できる。
以前にも「オミクロン株のBA.2が米国から空中散布された」というファンタジーが拡散された過去がある。
背景には、中国人必須の中国製の新型コロナウイルスワクチンは、オミクロン株に対して中和する抗体を作ることができない。つまり、効果がほぼないことを香港大学が世界へ発信してしまったこともありそうだ。
その状況は現在も変わっていないことから、現在、爆速感染が進むオミクロン株からの派生系タイプにもまったく無防備で、傘を持たない状態でゲリラ豪雨が襲来したような感じになっている。
XBBのデマを打ち消すように本日午後、中国共産党機関紙の人民日報は、「現在、我が国で主流となっているのはBA.5.2とBF.7である」とウェイボーへ投稿している。
その上で、XBBに関する下痢や嘔吐をするとか、すでに発症、回復済みでも何度でも再感染するなどをデマとして“正しい情報”を伝えている。
これらのデマは、いずれも米国が絡んでいることから、昨年10月以降、日本経済新聞が伝えている中国で増えるネット愛国者「小粉紅」が拡散させているとみられる。
小粉紅は、日本語にするとピンクちゃんとなる。90年代以降の生まれ、先日死去した江沢民氏が国家主席時代に始めた愛国教育を最初に受けた世代となる。
小粉紅とは、KWTが伝えてきた官製インフルエンサーでもありそうだが、最近の状況は、「雇い主」であるはずの中国政府が制御できず暴走している印象を受ける。
原因は、中国政府がさんざん愛国心と中国共産党への求心力向上に利用してきた対米世論だろう。
対米意識が熱くなりすぎて抑えきれず、飼い主の手をかみついていると指摘する識者もいる。
今年は、官製インフルエンサーから暴走し始めた小粉紅の動向により注目が集まっていきそうだ。