日本人のクレジットカード情報を集めるSHEIN?
「SHEIN(シーイン)を知ったのはネット広告でハマってもう10回ほど買っています。それを見ていた母もハマって一緒になって商品を探しています。購入してから1週間ほどで届きます。中国から直送ですが、それほど不安には思っていませんね」
と話すのは千葉在住の20代前半の日本人女性だ。
SHEINは、中国から直送される越境ECと呼ばれるオンラインショップだが、あまり気にしていないという。
決算方法は学生時代に親に作ってもらったクレジットカード。
SHEINは、コンビニエンスストア払いやペイパル払いにも対応しているが、SHEINを購入する知人たちでコンビニ払いを利用している人は聞いたことないそうだ。
商標違反や一部の製品にウイグル綿が使用されていることから、新疆ウイグル自治区での強制労働で生産されている疑惑が持たれるSHEINであるが、それだけではない。
日本人のクレジットカード情報を収集することが目的ではないかと数量政策学者の髙橋洋一氏は指摘している。
芋づる式に情報を集める中国
SHEINは、スマートフォンのアプリだけでなく、パソコンからも購入できる。
購入時に必要な情報は、氏名、住所、電話番号、メールアドレス。さらにクレジットカードで決済すれば、クレジットカード情報も収集されることになる。
「私の個人情報なんて価値もないでしょうから(笑)」(同)
確かに、社会人1、2年目の日本人女性の情報自体には、それほど価値はないかもしれない。
しかし、両親と同居の場合は、住所から両親の情報も取得される可能性がある。この女性にように母親がユーザーとなり購入しているのでさらに情報が集まってくる。
中国は「関係」を使って芋づる式に情報を収集することを得意とする。
また、髙橋氏が指摘する中国がなぜクレジットカード情報を集めるのか。
中国にはクレジットカードが普及していないからだろう。
クレジットカードが普及しないワケ
中国は、社会的な信用が乏しいため、クレジットカードは普及していない。
正確な統計はないが、10%前後とも言われる。中国人の経営者などでも中国発行のクレジットカードを持っているなんて話はあまり耳にしたことない。
クレジットカードは、中国国内にほぼ存在しない。だからこそ、クレジットカード情報は、非常に価値があると考えるのが自然なのではないだろうか。
中国は、クレジットカードが普及しなかったから、デビット方式の銀聯カードが普及し、続いてアリペイなどが普及し、キャッシュレッシュ大国なんて奇妙な持ち上げられ方をするのだ。
現実は、人や社会に信用がないので、現金を基盤とするデビット方式でのキャッシュレスとなる。日本とは社会的な背景が大きく異なっていることは知っておきたいところだ。
「私の個人情報なんて価値ないよ」と安易に考えている間に、目的を持って情報を集めている側は、今もコツコツと日本人の個人情報を集積していることだろう。
意味ない点をひたすら集積すると、いつか意味がある線になるというのが中国の戦略とされる。