注文殺到する日本製の風邪薬
中国政府はゼロコロナ政策を一気に緩和させた。緩和以降、中国各地で新型コロウイルスの感染爆発かと報じられている。
しかし、中国のSNS上では、そんなニュースはまったく目にすることなく、表面的には、平穏な春節(2023年1月22日)1か月前に見える。
当局が膨大なリソースを投じて24時間体制で検閲、削除をし続けている成果だろう。
「日本製の薬を毎日のように国際郵便で送っています。人気は、パブロンゴールド、ナロンエースT、バファリンプレミアムです。十分に利益は出せるので量販店からオンラインで購入しています。夏以降は中国とのフライトが正常化しつつあるので、航空便でも1週間ほどで届けられるようになっています」
と話すのは、大阪で中国人のインバウンドサポートをする企業の担当者だ。
新型コロナで中国人が訪日できなくなってからは、中国のECサイトと連携して日本製品の輸送業務へシフトして生き抜いてきたという。
今、中国では、新型コロナへの感染を恐れ、風邪薬や解熱剤などの買いだめが起こっている。中でも日本製の風邪薬が口コミで人気となり、注文が相次いでいるそうだ。
このまま中国人が買い続けると、日本国内で風邪薬が在庫不足になるかもしれない。
ファイザー接種したくて訪日?
中国政府は今月上旬、ゼロコロナ政策を大幅緩和したが、現時点ではまだ観光目的での出国は禁じたままだ。
「もし、今のタイミングで中国が海外旅行を再開させたら、日本へ大挙して押し寄せるのでは?」と東京の研究機関に勤める中国人医療関係者は話す。
中国人非居住者でも一定の条件を満たせば、中国の一般人では接種できないファイザーやモデルナなどの欧米系の新型コロナワクチンを接種できる。しかも無料で。もし、新型コロナを発症しても日本なら治療費が安い。などの情報が流れているそうだ。
中国ではこの3年間、PCR検査万能主義で常軌を逸した回数のPCR検査を実施してきた。
しかし、PCR検査は、新型コロナの感染の目安を調べるものであって、抗体は得られないのはもちろん、感染予防にもならない。
むしろ、毎日のように検査を受けるプレッシャーや長時間並ぶことによるストレスで免疫が低下して重症化リスクを高めるだけだったのではないか。
「海外旅行を解禁していなかったのは幸い」
同じような情報は、新型コロナまん延初期の2020年春にも中国で流れた。
日本なら入国時の検疫で新型コロナ陽性となって入院しても入院費も食事もすべて無料。しかも治療も無料でしてくれる。
「中国政府が中国人の海外旅行を解禁していなかったのは、日本にとって幸いだったかも…ですね」と前出の中国人医療関係者は語る。
もし、今の段階で中国人の海外旅行を再開させていたら、まったく違う意味での医療ツーリズムになっていたかもしれない。