人権活動家として銅像まで建った元慰安婦
240人中1人もいない日本軍慰安婦被害者? コロコロ変わる証言の続き。
金学順(キム・ハクスン)氏や李容洙(イ・ヨンス)氏は、いま韓国では、女性人権活動家として扱われている。
ソウルの中心にある南山(ナムサン)の中腹、南山公園(戦前は朝鮮神宮の本殿が建っていた場所)に、金学順氏がアジアの少女3人に向かって語りかける姿をかたどった像が立っている。
日本語の説明文には、「この記念碑は、1931年から1945年まで日本軍によって性奴隷にされ、『慰安婦』と呼ばれたアジア太平洋地域13か国にわたった何十万人の女性と少女の苦しみを表わしています。その女性たちの大多数は、戦時中囚われの身のまま命を落としました。この暗い歴史は、生存者が勇敢に沈黙を破った1990年代まで、何十年も隠されていました」などとある。
典型的な「性奴隷」説と「戦場虐殺」説に立った説明だが、金柄憲(キム・ビョンホン)氏が指摘する通り、「虐殺」を示す証拠は誰も示せないのである。
金学順氏は慰安婦として最初に名乗り出て、日本政府を訴える裁判の証言台に立ったことはあるといえ、女性問題や人権問題について何か発言し行動したという話は聞いたことがない。アジアの少女らに何を語り、何を伝えることができるのだろうか。
元慰安婦の実名をさらした慰安婦モニュメント
ソウル南山の北麓、かつて朝鮮総督府公邸があった場所は、今「記憶の場」という公園になっていて、慰安婦の恨(ハン)を晴らすという趣旨で「大地の目」と名付けられたモニュメントがある。
瞳の形をした黒曜石の壁面は「慟哭の壁」と名付けられ、慰安婦247人の実名が刻まれている。
この名簿リストを用意したのは挺対協で、実名をさらすことは個々の慰安婦の許可を取っていなかったため、のちに自分の名前の部分をノミで削って読めなくした元慰安婦もいた。
女性の人権を大事にするはずの慰安婦団体自らが人権を無視していた証拠でもある。
今や慰安婦運動の中心的人物
李容洙氏の出身地・大邱(テグ)市内には、戦前の日本家屋を利用した「日本軍『慰安婦』歴史館」が設置されている。
内部では元慰安婦らの回顧談がビデオで上映されているほかは、李容洙氏個人の事跡を示す展示が中心となっている。
李容洙氏はここを記者会見の場として利用し、メディアへの発信を繰り返すため、今や慰安婦運動の中心的人物として影響力を発揮している。
しかし、前述の通り過去の自分の発言と矛盾する内容を平気でしゃべるため、「ニセ慰安婦」という評価もつきまとう人物でもある。
彼女は自らを「人権活動家」と称しているが、「どういう理由で人権活動家になり、人権のために何をしたのかさっぱりわからない」と金柄憲氏は『赤い水曜日 慰安婦運動30年の嘘』に書いている。
「日本軍に強制動員された」のが日本軍慰安婦被害者
金柄憲氏はこの本の最終章エピローグを、以下のような文章で結んでいる。
そろそろ私たちは三〇年間の慰安婦問題解決のため、慰安婦の実状を冷静な目で見なければならない。そのためには、慰安婦問題を取り囲む虚像をまず取り除くべきだろう。それは、これまで正義連(前身は挺対協)が偽り扇動してきた強制動員説と性奴隷説、そして戦争犯罪説だ。慰安婦問題解決の糸口は、このような虚像を取り除き、実情を正確に見ることでつかめるに違いない。
大前提は正直であること、いまのようにウソをついているかぎり、この問題は解決できない。(P363)
小須田 秀幸(こすだ ひでゆき)
NHK香港支局長として1989~91年、1999~2003年駐在。訳書に許家屯『香港回収工作 上』、『香港回収工作 下』、パーシー・クラドック『中国との格闘―あるイギリス外交官の回想』(いずれも筑摩書房)。2019年から2022年8月までKBSワールドラジオ日本語放送で日本向けニュースの校閲を担当。「ノッポさんの歴史ぶらり旅」をKBS日本語放送のウェブサイトとYouTubeで発表している。