北朝鮮も治療へ用いた(?)中国製漢方薬
今年5月、北朝鮮で初の新型コロウイルスへの感染者が確認され、発熱者が急増した時の治療に用いられたとされる中国製漢方薬「連花清瘟」。
中国はゼロコロナ政策の実質解除で、この連花清瘟の販売価格が5倍に高騰したり、似たような名称の偽物が多数登場したり、5箱セットしか売らないなどの問題が中国各地で起こっていると中国メディアが報じている。
突然インフルエンザ並と言われても…
「今まで3年間も新型コロナは怖い怖い、感染したら人生終わるくらいに言っていたのに突然、新型コロナはインフルエンザ並と言われても困惑しますよ…」
と話すのは、上海の米系企業で働くがコロナ禍でフルリモート勤務となったため、母親と湖南省の地方都市へ転居したという30代の中国人男性。
便利な都会育ちの彼が、最も近いスーパーマーケットまで5キロ・メートルほど離れ、自宅の前には、水田と淡水魚の養殖池があるような「田舎」へ引っ越したのは、母親が新型コロナ感染を恐れてのことだったそうだ。
「私は切り替えて対応できるかもしれませんが、母は新型コロナの認識をすぐに改めるのは難しいかもしれません。それほどの恐怖心が植え付けられているんですよ」(中国人男性)
新型コロナの非科学的な情報を感情的にあおり続ける日本の朝の情報番組や今でも毎日「感染者数」として陽性者数を大きく報じたり、安心感を得るためにPCR検査を受けたりしている日本の現状を伝えると、「似たようなものかも」と彼は苦笑する。
連花清瘟が品不足になる原因は?
連花清瘟の価格が5倍になるほど人気があるのは、中国政府の「新コロナウイルス肺炎診療プラン」という国家指針で推奨されていることも一因と言われる。
いわば国がお墨付きを与えているのだ。
連花清瘟の品不足に乗じた偽物も登場ている。「連花清温」「蓮花清温」「蓮花清瘟」等の類似商標が登録されており、「連花清温茶」「蓮花清瘟茶」なども商品化されているという。後者は医薬品ではなく飲料だ。
このような現状に対して杭州市当局は、価格のつり上げや買い占め、値上げ、品切れななどのデマを流すことを禁じた。
違反者には500万人民元(約9800万円)以下の罰金を科すという。火事場泥棒的な行為が横行するのは中国らしく、信賞必罰なところも中国らしいと言える。
連花清瘟を製造する以岭薬業は6日、製品価格は安定しており、もし不当な価格のつり上げを見つけたら地元当局へ通報してほしいと消費者へ呼びかける。
また、同社は、生産拡大を講じており、供給体制の確保に全力を挙げて取り組んでいると声明を出している。
現在、新型コロナ対策の医薬品を買い集めていると報じられる北朝鮮も連花清瘟の品不足と価格高騰に頭を抱えていそうだ。