バイク禁止だけど増えるバイク乗り?
日本ではあまり知られていないが、中国はバイク禁止国だったりする。
オートバイ(自動二輪車・単車)は交通事故が多いという理由で1980年代に禁止が進み現在でも200都市以上が都市部への乗り入れを原則禁止している。
バイクは原則禁止にも関わらず、近年は若者中心にバイクを楽しむ人が増えている。
人気は大型自動二輪車で、郊外をツーリングしたりして満喫しているようだ。このあたりのカオスが実に中国らしい。
中国遼寧省に20年近く住む日本人Tさんは、参加するバイクサークルのメンバーと吉林省の長白山(白頭山)から鴨緑江を下り丹東・東港まで400キロ・メートル2泊3日のツーリングを楽しんできた。
このツーリングは、丹東が都市封鎖(ロックダウン)される直前の10月上旬に実施されたので、ロックダウンの影響は受けずに移動できたそうだ。
10人ほどのメンバーで日本人はTさん1人。各自が自慢の大型車で秋の鴨緑江の風景を堪能したという。
Tさんらが長白山から丹東まで移動するには、いくもの検問所を通過する必要がある。
特に中朝国境近くだと数十キロ・メートルに1か所くらいの間隔で検問所が設置されている。
時間かかる日本人の身分証チェック
検問所では一度、バイクを降りて身分証チェックを受ける。
中国人であれば身分証(IDカード)、日本人であればパスポートとなる。
検問所の担当者からは、毎回のように写真撮影に気をつけるようにと注意をされたそうだ。北朝鮮や国境関連施設などは撮影厳禁だと何度も念を押されたという。
中国人がIDカードを提示すると端末で参照してすぐに終わる。
ところが、日本人がパスポートを提示すると参照するのに時間がかかる。かかる時は、数時間ほどかかったため、メンバーたちは検問所を休憩時間にしていたそうだ。
中国では、中国人のIDカードを管理する公安(警察)のデータベースが全土で連動し、瞬時に照合できるシステムが完成しているとされる。
中国人のIDカードには、氏名、住所、戸籍、民族など個人情報だけでなく、犯罪歴や反政府的な活動の有無などもひも付けられているとされるので、それを理由に出国や国内での移動制限を受けることがある。
日本人のパスポート照合に時間がかかっているということは、中国国内でパスポートの情報を持っている各機関との連携がまだ不完全なのかもしれない。
どこからでもパスポート情報を参照できる?
習近平政権になってから、空港のイミグレーション情報と各公安のデータベースを連動させて外国人に多いオーバーステイや不法就労、脱税、回売春など公安での検挙率を上げる政策を実施してきた。
その結果、2014年11月の反スパイ防止法施行後は、日本人がスパイ容疑で16人も拘束れて今も服役中の日本人もいる。
外務省によれば、2015年5月以降、16人の日本人がスパイ容疑で拘束。10人が起訴され懲役3~15年を受け現在4人服役中(4人帰国済み、1人死亡)となっている。
外国人のパスポート情報の連動は、スパイ容疑での拘束者を増やすことに多少なりとも寄与したと考えられる。
今回のTさんの体験談から、日本人のパスポート情報も中朝国境付近であっても参照できるようになっていることがわかる。