ほぼ100%中国経由での訪朝
日本は、新型コロナウイルス陽性者の全数把握をやめたはずだが、テレビのニュースでは相変わらず細かな陽性者数を伝え続けている。
その影響か、テレビの視聴時間が長い人ほど新型コロナを過剰に警戒しているとの指摘も出されているくらいだ。
そんな状況ではあるものの、「この年末年始は海外へ旅行する」という声が周りからも聞こえてくるようになった。
日本から毎年のように訪朝していた各友好団体からも、年明けには訪朝したいとの方針が出始めているようだ。
しかし、日本から北朝鮮へチャーターでの直行便で行かない限り、現実的には、現状ほぼ100%が中国経由となる。空路であれば、北京が主な経由地となるだろう。
話を聞くと、中国の状況をあまり把握していない印象を受ける。その中国は、観光客の入国緩和がさらに遅れ、来年3月末以降となる見通しだ。
来年3月末に観光客の中国入国が再開?
遼寧省大連の旅行会社によると、当初、年内か旧正月(春節・2023年は1月22日)までには、中国人の海外旅行ならびに海外からの観光客受け入れが再開されると見込まれていた。
しかし、10月の中国共産党大会が終わっても緩和される方針は出されず、中国国内での新型コロナ感染再拡大を理由に、各地で事実上の都市封鎖(ロックダウン)が行われている状態となっている。
現在、中国の旅行業界の間では、来年3月の全国人民代表大会(全人代)後の3月末に観光目的の出入国が再開されるとみているようだ。
なぜ、この情報が日本からの訪朝者に重要かと言えば、中国は入国なしでのトランジットを一切認めていないからだ。
世界でハブ空港と呼ばれる国際空港、日本なら成田や関西国際空港、韓国・仁川国際空港、シンガポール・チャンギ国際空港、タイ・スワンナプーム国際空港、オランダ・スキポール国際空港、ドイツ・フランクフルト国際空港、米国・ロサンゼルス国際空港などは、入国せずに経由するトランジット利用が旅人の常識となっている。
乗継便までの空き時間は、空港の制限エリア内の免税店やレストラン、ラウンジなどで過ごし、入国はしていないが、その国の雰囲気を楽しむことができる。
トランジットさせず必ず入国させる目的
ところが、中国では、海外からの到着者は全員1度入国しなければならない。
以前、一部の空港で試験的にトランジットを実施していたことがあるが、現在は確認できていない。
中国がトランジットを認めない理由は、入国者のパスポート情報と2017年から始まった指紋情報を採取するためだと言われる。
入国なしのトランジットだとこれらの情報が取得できない。だから、中国は安全保障を理由にトランジットを認めてないのだ。
最近では、タイなど東南アジアへ行くのに上海や広州など中国経由が安いということで利用する日本人も増えていた。
中国に滞在するのは空港のみで、ほんの数時間ほどだとしても入国しているので、パスポートと指紋情報は採取されている。
中国政府としては、旅行者が落とす外貨よりもこちらのほうが重要なので、目的は果たしていることになる。
日本から友好団体として訪朝する人たちは、元政治家や財界人なども少なくない。
特に彼らの個人情報は、中国政府がのどから手が出るほどほしい情報なのではないだろうか。