サッカー弱いけど大人気の中国
「誰もマスクしていない…」
現在開催中のサッカーのFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会の試合を見た遼寧省大連在住の中国人医療関係者のつぶやきだ。
リアルで会う人にはこの話をしているが、インターネット(SNS)には、絶対に書き込まないと話す。
サッカー弱小国の中国がW杯へ出場したのは、2002年大会の1回のみ。にもかかわらず、中国でのサッカー人気は高く、最も人気があるスポーツとされる。
習近平国家主席は、サッカー強国を目指す方針を示すなど力を入れており、悲願の3期目続投を決めた習近平政権は、本格的にサッカー強国へ動き出すのかもしれない。
世界が称賛でもぶれない中国
日本が強国ドイツを破った23日、国際サッカー連盟(FIFA)の公式ツイッターが、日本代表が引き上げ後の美しいロッカールームをツイートして世界的に話題となった。
このツイートは、中国SNS微博(ウェイボー)でも取り上げられている。
単純に称賛するコメントがと思ったらそこは中国ぶれない。日本を内政利用することは忘れないようだ。投稿には、中国当局の苦心の検閲跡を確認することができる。
日本代表のロッカールームについては当然、中国の官製メディアは報じていない。もし、報じるとしたら日本に対してもっと大きな政治的な意図がある時だろう。
確認できる投稿にはコメント85件と少ないが、うち32件ほど削除されたようだ。
肯定的なコメントは、1、2件で。あとは、なぜか関係ない海洋放出を決定した原発処理水の話で日本を批判する内容が複数書き込まれている。
ほかにも「日本の外務省が命じた」「あざとい」「メンツのための偽善行為」などのとんちんかんがコメントも確認できる。
そもそも元のツイートは、日本代表が自画自賛のために投稿したものない。FIFAが投稿したものなので、公開される前提ではなかったはず。
この点、ウェイボーの投稿では、意図的にか定かではないが、一切触れていないので、上記のようなとんちんかんなコメントが書き込まれたのだと思われる。
中国人のガス抜きに最適だけど検閲強化
今、中国では、新型コロナウイルスの感染再拡大で各都市が時代遅れの都市封鎖(ロックダウン)を実施しつつある。
中国SNS上は、AIや人的な検閲が追いつかないのか、瞬間的に抗議動画や不満を訴える投稿が漏れ広がっている(数時間後には例外なく削除)。
中国人が相当な不満を抱えていることを感じさせる状況だ。
そんなタイミングなので、本来W杯は、不満を発散させるガス抜きにうってつけなイベントなはずだ。
しかし、そのエネルギーが、いつ習近平政権への不満に向くかわからないので、手放しに日本を称賛したくない。そんな中国当局の思惑が透けて見えるようだ。検閲は決して緩めない。
世界から称賛された日本代表のロッカールームについての投稿で削除された32件のコメントは、どんな内容だったのだろうか。
After an historic victory against Germany at the #FIFAWorldCup on Match Day 4, Japan fans cleaned up their rubbish in the stadium, whilst the @jfa_samuraiblue left their changing room at Khalifa International Stadium like this. Spotless.
Domo Arigato.👏🇯🇵 pic.twitter.com/NuAQ2xrwSI
— FIFA.com (@FIFAcom) November 23, 2022