大半の中国人は監視社会に「慣れた」?
世界最強の監視国家の中国が構築したインターネット監視は、テクノロジー(デジタル)と人的資源(アナログ)の混合監視という他国ではまねできない強烈なものとなっている。
そこに暮らす中国人は、多少の不満を抱きつつも、大半の中国人は「慣れた」というのが現実に近いとある中国人は話す。
デジタル監視社会中国では、中国共産党が容認する範囲で、自分や家族の幸福を追求していく方角を向き日々生活している。
インターネットの世界では、信じられないくらいのNGキーワードが存在し、その数は増える一方とされる。
現在、中国政府が強く警戒しているだろうというキーワードの1つが「長春」だ。
7か国で上映されている長春
正確にはカナダの映画で、英語名は「ETERNAL SPRING(中国語名・長春)」。
内容は、中国でカルト集団として“邪教”認定される法輪大法(法輪功)の学習者が2002年3月に吉林省長春で起こした中国国営テレビの電波ジャック事件を題材としたものだ。
長春は今年10月末から米国や英国など7か国で上映されている。
中でも法輪功の活動が盛んで、法輪功学習者が運営しているとされるメディア「大紀元時報」の本部がある米国が最も多くの映画館で上映している。
今年のアカデミー賞選考作品に
現時点では、日本や台湾でも上映されていない。
そのためか、日本で大紀元以外で取り上げているメディアは確認できない。台湾では、大紀元に加えて、同じく法輪功関係者が運営するとされる「新唐人テレビ」が取り上げているくらいで同じく一般メディアは確認できない。
果たして、中国への配慮なのか。または、特定の団体が強く関与する偏った映画と判断しているのかもしれない。
よって、KWTでも映画内容の深掘りは避けるが、確認できる事実をお伝えする。
11月9日に映画芸術科学アカデミーは、長春を第95回アカデミー賞の長編アニメーション賞の選考対象作品にすると発表。
米英で上映が始まった先月末以降、大手メディアで紹介されている。
確認できるのは、英紙ガーディアン、ロサンゼルス・タイムズといったリベラルメディアから保守系のFOXニュースなどだ。報じるメディアには、特定の偏りはないようだ。
アカデミー賞をガン無視する中国
また、米エンタメサイト「IndieWire」は、同映画の登場人物が大紀元の関係者であり、大紀元は、法輪功の機関紙と読み取れるような紹介をしたところ、映画関係者からクレームが入り、10月22日、文頭に訂正が追記されている。
追記された内容は、映画の登場人物は、大紀元とは無関係である。また、大紀元は法輪功学習者によって運営されているが、法輪功の機関紙ではない。同団体は機関紙を持っていない。
さらに、「カナダのアカデミー賞ノミネート作品が中国政府の検閲対象に」との見出しも、正しくは、中国政府は、当初から本作品に限らずアカデミー賞自体を“西側のプロパガンダイベント”と全否定していることから、本作品だけを検閲しているわけではない。
という映画サイドの主張が紹介されている。
本作品はどのくらい特定の団体による偏りがあるかはわからない。
しかし、最後の中国政府がアカデミー賞を敵視し、国内では一切報じない点は事実だ。
もし、長春がアカデミー賞を受賞することになれば、日本でもニュースとなるかもしれない。興味がある人は、今から検索してみてはどうだろうか。