海上瀬取りでのマツタケ密輸が最盛期?

海上瀬取りでのマツタケ密輸が最盛期?

輸入食品は生産国のみしか表示義務がないので生産地まではわからない中国産マツタケ

 今、北朝鮮からの輸入が忙しい。正規ではない密貿易の話だ。

 現在はマツタケの密輸が盛んに行われているようだ。

 中国に今も滞在する北朝鮮関係者と接点を持つ中国人は、「彼らか密貿易についての話すことはもちろんないです。だけど、何やら毎日忙しいらしく『何が忙しいの?』と尋ねても話をはぐらかされます」と話す。

 中朝貿易の関係筋によると、現在の主な運搬手段は海上輸送で、海上でのいわゆる「瀬取り」によってマツタケなどを密輸しているようだ。

 船は小型の漁船を使用し、北朝鮮漁船に中国漁船が横付けし、1回で20トン単位のマツタケを移し替えることもある。

 マツタケ以外には干しイカ、タラコなども瀬取りで密輸しており、中国へ入港後は陸路で吉林省延吉へ運び中国産へ偽造して販売するという。

 このマツタケは中国産として日本へも合法的に輸出されている。

鴨緑江での密輸が姿を消した謎

 イカやタラコを取り出すためのスケトウダラも中国沿岸の黄海や東シナ海には漁場がなく、北陸から北海道付近の日本海が好漁場として知られている。

 海上で瀬取りが行われる場所は、トップシークレットなのだろう毎回変更されるようだ。中国人貿易関係者もおおよその場所であっても「一切わからない」と主張する。

 新型コロウイルスがまん延する前であれば、中朝国境の鴨緑江で密輸が多く行われていた。

 鴨緑江での密貿易のほうが、時間的にも早く、輸送コストも安く済むと思われるのであるが、2022年現在、ほとんど行われていないと前出の関係筋は話す。

 中国国内や海外メディアの目を気にしているのか、その理由は定かではない。

くさいキノコが北朝鮮へ外貨をもたらす

 中国のマツタケは、吉林省と雲南省が2大産地となっている。

 しかし、今年は雲南産が初夏の長雨の影響で不作となり、価格が高騰。

 現在は雲南産の出荷も安定し、価格は下がったようだが、マツタケシーズン当初の価格上昇は、中国のマツタケ市場をちょっとした混乱に陥れたようだ。

 ちなみに、30年前の中国には、マツタケを食べる習慣はなかった。

 吉林省では“くさいキノコ”と呼ばれて廃棄されていたという。

 中国人が見向きもしなかったそのくさいキノコを日本企業が大量に買い上げることが、マツタケの価値を日本から中国へ逆輸入させることになった。

 マツタケは、中国で健康に関心を持つ中間層が増えたことによって長寿の食材として注目されることに。

 特に2010年代以降は、中国でマツタケブームが起こり、国内需要の高まりは価格を押し上げることになった。
 
 それによって、マツタケは北朝鮮へ貴重な外貨をもたらす輸出品へと変貌(へんぼう)を遂げたのだった。

 日本では11月に入り、マツタケの店頭価格は下落傾向にある。

 偽造された北朝鮮産も混ざる中国産マツタケは、11月以降も日本へ輸入され店頭に並ぶ。

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