相互主義を無視する中国
日本8位中国ビリ70位ベトナム66位に不満?インターネット自由度の続き。
インターネット自由度ランキングで、8年連続最下位で殿堂入りを達成した中国(70位)は、自分たちの都合で一方的に海外サイトを遮断する。
にもかかわらず、中国のSNSやアプリへの規制の動きには敏感に反応して、「政治的な謀略で不当な中国いじめである」と反発する。
相互主義の原則は都合よく棚に上げて無視だ。
確かにVPN(仮想プライベートネットワーク)を使えば、一般回線ではアクセスできないようなグーグルやユーチューブなどのサイトへもアクセスはできる。
しかも、VPN本来の仕様から中国当局でもどのサイトを閲覧しているか特定できないとされる。
しかし、中国当局からはVPNを使っていること、データ通信量は確認できるので、一般の中国人が日常的にVPNで使って大量のデータを消費していると当然ながらマークされることになる。
日本はポルノフリー国?
ランキング50位のタイも王室に批判的なサイトを遮断したり、ベトナム同様に世界的なアダルト動画共有サイトは遮断している。
個人的には教育上、正しい対応にも思える。逆に日本は子供にとって有害なポルノサイトに対して野放しすぎる。または、対応が遅いという声はよく聞こえてくる。
安倍晋三元首相の暗殺以降、社会的な関心事となっている旧統一教会などの宗教団体だけでなく、悪質な詐欺集団などのサイトも長時間放置されて、多くの被害者を出してからようやく規制へ乗り出す…という印象は拭えない。
もっとも、これが民主主義だと言われればそれまでだ。
しかし、インターネット自由度で下位に沈むタイやベトナムの規制にもそれぞれの国の事情、文化など一定の理はあるのではないだろうか。
むちゃくちゃな中国と同列扱いのベトナム
中国は2017年1月1日から海外NGO国内活動管理法(NGO管理法)を施行するくらい海外のNGOを敵視している。
施行から現在まで海外NGO団体で、中国国内での活動が認められた団体はゼロとされる。
しかも、この法律は、香港国家安全法と同様に域外適応されるとも言われる。つまり、フリーダムハウス関係者が、NGO活動とは無関係のプライベートで訪中しても逮捕される可能性があるということだ。
そんな国際法を無視するむちゃくちゃな中国と一緒にされても…という66位ベトナムの不満の声は十分に理解できる。
欧米価値観に反発する中国。北朝鮮は対象外
中国政府は、この手の欧米のNGO、シンクタンクなどが発表する評価、ランキングに対して「欧米の価値基準で決められたアジア軽視の政治的な謀略」と切り捨てる。
インターネット自由度やノーベル賞しかり、アカデミー賞などへも同じ理由で完全無視する。
中国の肩を持つわけではないと断った上だが、この中国のむちゃくちゃな論理にも一理あるように思える。
今回のインターネット自由度だけでなく、幸福度などあらゆる分野のランキングを算出するのは、主に欧米のNGOなりシンクタンクなどが多い。
そのため、尺度が欧米基準であり、キリスト教をベースとした民主主義が絶対正義にようになっている。
そのため、民主主義の体裁だけど実際は独裁政権国、キリスト教から見た異教徒の国、社会主義国、中国のような極端な権威主義国などは、欧米基準では、最初から減点を食らっていて不公平だというのが中国の主張なんだろう。
だから、彼らのルールで決めたものは一切相手にしないとなる。
これについては、中国へ強い警戒心を抱く反中色の強いベトナムであっても、中国の主張には多少なりとも賛同していそうだ。
インターネット自由度ランキングの対象外だった北朝鮮は、国内向けにインターネットをまったく開放していない数少ない国なので、本件について公式コメントをすることはないとみられる。