ベトナムが韓国ドラマ配信停止をネトフリへ要請
中国では16日から5年に1度の中国共産党大会が開かれる。
党大会を前に開催地である北京では警備が強化されている。そんな中、習近平国家主席や中国共産党、独裁的な権威主義体制、ゼロコロナ政策などを批判する横断幕が掲げられたことがニュースとなった。
中国政府の制御下ある国産のSNSなどは、すぐに削除や検索禁止など対応ができる。
しかし、削除を逃れるために転載されたとみられるツイッターなどは、中国政府の手が及ばないため削除できず残されている。
だから、中国はコントロールできない中国国外のSNSやサイト、サービスを「国内産業の保護や青少年を守るため」などの建前に並べて一方的に遮断するしかないのだ。
全面遮断しているサービスの1つがネットフリックスなのだが、党大会を前に締め付けが強化される中、ガス抜きとも思える投稿が確認できる。
韓国ドラマ「シスターズ」が、ベトナムの戦争を歪曲したとしてベトナム政府からベトナムでの配信停止を要求され、ネットフリックスは要求に応じ6日午後から配信を停止した。
この件は、日本では報じられたが、中国SNS微博(ウェイボー)でも投稿され、現時点でもいくつかの投稿が確認できる。
ネットフリックス禁止国でネットフリックスの話題、まるでブラックジョークだ。
「シスターズ」ベトナム報道法に抵触と主張
韓国映画紹介アカウントは、次のようにウェイボーへ投稿している。
ネットフリックス関係者によると、ベトナム情報通信省ラジオ・テレビ・電子情報局(ABEI)の書面による要請により、ベトナム国内での韓国ドラマ「シスターズ」の配信が中断された。
シスターズは、ベトナム戦争に従軍し功績をあげたウォン・ギソン将軍が、「韓国兵はベトナム兵を20人殺せる」「100人殺した兵もいる」「韓国兵はベトナム戦争の英雄だ」などと発言したことがベトナム国内で物議を醸した。
この件については、ベトナム国営のベトナム通信社のウェイボーアカウントでも投稿が確認できる。
具体的には、歴史を歪曲し革命業績を否定、国家を侮辱することに関して定めた「報道法」9条4項に違反するとしてドラマの配信停止を求めた。
また、このドラマは、同法第11条4項の同様の規定にも違反している。
第3話の58分1秒から22秒と第8話の5分41秒から7分1秒の2場面でベトナム戦争に言及する演出があり、ドラマの登場人物たちの会話内容がベトナム戦争を歪曲している。
ガス抜きに利用する余裕?
これらの投稿へは、「何が問題だったかわからない」「我々と一緒。これぞ真の社会主義国」「ベトナムにも報道法なんてあるんだ?」などのコメントが確認できる。
確かに、ベトナム政府が何を歴史歪曲と判断したかはわからない。もしかすると、中国当局が言及した箇所を削除した可能性もある。
書き込まれたコメントの7、8割はすでに削除されたと思われる。
しかし、残されているコメントは、「韓国の歴史はうそばかり」と近年、起源を巡って中韓でもめるキムチなどが引き合いに韓国批判が目立つ。
この件についての投稿は、民間メディアやベトナム通信社など数えるほどしか確認できないものの、中国で全面禁止しているネットフリックスについて言及する投稿は、中国人ユーザーに「なぜ中国ではネットフリックスが利用できない?」と気づかせ、中国政府への不満になりそうではある。
だが、この投稿自体を残しているということは、韓国批判などガス抜き的な意味合いもありそうであるが、インターネット検閲、監視体制は万全で、習近平政権へのブーメランにはならないという中国政府の自信の現れなのかもしれない。