中国政府の宗教政策の正当性アピール
中国SNS上では、現時点でも旧統一教会を“邪教”とした反邪教投稿が複数可確認できる。最近は、日本の政治家と統一教会の関係に焦点を当てた投稿が目につく。
これこそが民主主義の欠点。日本の実態。宗教が政治を支配している。裏返せば、中国政府の管理宗教政策は正しいと主張したいのだろう。
以下は、微博(ウェイボー)に投稿された民間メディアの投稿(中国はすべてのメディアが中国共産党の指導に従う前提なので、日本の民間メディアとは定義がまったく異なる別物だと認識いただきたい)となる。
宗教法人の剥奪は難しい
共同通信が6日に報じたところによると、岸田文雄首相は、参議院本会議の代表者質問で、世界平和統一家族連合(旧統一教会)問題に関して、宗教法人法に基づく解散命令は、「慎重に判断する」と改めて答弁した。その上で、被害者救済に全力を尽くすとした一方、統一教会との関係がさらに明らかになった山際大志郎経済産業担当大臣の交代は改めて否定した。
岸田首相は、宗教団体の解散命令申請に対し、「法人格の剥奪は極めて厳しい措置である」と回答。「信教の自由を保護する観点から、事案に応じた慎重な判断が必要である」とも述べた。また、特定の宗教団体が法に抵触する行為を犯した場合は、「厳しく対処しなければならない」。被害者の救済は、「総合的な相談体制構築へ向けた措置を講じる」と述べた。
質問に立った野党議員からは、山際大臣の不誠実な答弁を挙げて、閣僚としての資質や岸田首相の任命責任を問う声が上がった。
各地の反邪教協会が連日警戒を呼びかける
書き込まれたコメントは少ないが、「邪教が日本政界の根底まで浸透しているようだ」「邪教に乗っ取られて大東亜共栄圏から世界統一とかそんな妄想がだんだん膨らみそう」「韓国邪教は恐ろしい」など確認できる。
中国SNSでは、四川や広州、内蒙古反邪教など各地の反邪教協会による邪教への警戒を呼びかける投稿が連日のように確認できる。
投稿には、カルト団体の浸透手口、崩壊した家庭やカルト宗教に洗脳された人の末路などの事例を恐怖心を植え付けるように繰り返し紹介している。
これらの投稿から中国政府の宗教政策は、大切な国民の命を守るために適切なものであり正しいという強い主張が読み取れる。
当然ながらウイグルやチベットでの弾圧を正当化する狙いも見え隠れする。
朴槿恵時代に安重根=抗日の英雄で中韓歩調を合わせた
一方で、邪教は狂ったテロリストを生み出すと山上徹也容疑者の写真を載せて呼びかけており、テロリストを英雄視しない姿勢を打ち出している点は注目に値する。
韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権時代に対日政策で中韓の思惑が一致し、中国でも安重根を抗日の英雄として称える動きを見せていたが、中国政府は1、2年で方向転換した。
背景には、終末高高度防衛(THAAD)ミサイルの配備や安重根の時代の国際法上でもテロリストであった人物を英雄とすることは、現代のウイグルやチベットでの抵抗運動の指導者を英雄とすることと同じとなるため、中国政府にとって都合が悪いと判断した可能性がある。
よって、今後しばらくは、安重根が中国で英雄として持ち上げられることはないと思われる。