シンガポール国営メディア1件だけ

シンガポール国営メディア1件だけ

ロ朝首脳会談(2019年4月25日) 出典 Kremlin.ru [Public domain], via Wikimedia Commons

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、ロシアのプーチン大統領の70歳を祝う祝電を送ったというニュースが中国SNS微博(ウェイボー)上にひっそり1投稿だけ確認できる。

 コメントは10件と表示されているが、グレーアウトして確認も書き込みもできない。中国当局が封鎖したとみられる。

 この1件は、シンガポールの国営メディアが投稿したものだ。内容は下記の通り。

 北朝鮮の金正恩総書記が10月7日(金)に70歳を迎えたロシアのプーチン大統領へ祝電を送った。

 金総書記は祝電で、「70歳の誕生日を心からのお祝い申し上げます。あなたの卓越したリーダーシップと強い意思は、今日のロシアが米国とその追従者たちの脅威を打破し、国家の尊厳と基本的利益をしっかりと守るために不可欠なものです」と述べた。

 中国語の原文は、朝鮮領導者金正恩となっている。

外電だけど準官製メディア扱い?

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信が7日に報じたプーチン大統領への祝電についての記事は、670文字ほど確認できるので、かなり要約して伝えたものだ。

 朝鮮中央通信が報じた祝電の内容には、2019年のウラジオストクでのロ朝首脳会談でプーチン大統領と初めて会談し合意した内容を着実に履行していること。相互支援と協力が強化されていること。指導者同士で築かれた個人的な絆が、今こそ歴史的に試されている時なども述べられている。

 現時点では、中国国営や中国共産党機関紙などの官製メディアの投稿は1件も確認できない。

 この唯一の投稿をしたシンガポールの聯合早報は、シンガポール国営であり最大の中国語日刊紙だ。

 日本では、朝日新聞が海外特約メディアとなっており、過去には、日本の首相の靖国神社参拝を批判したりと中国政府の主張にも近いことでも知られる。

 そのため、正確には外電だが、準官製メディアのような扱いで中国政府が直接報じないことを補完するような役割を果たすことが多い。

言論統制との批判はかわしたい

 中国政府は、SNS上へ中国政府の主張に近い外国メディア投稿を載せることで、国外からの言論統制との批判をかわす狙いもありそうだ。

 その唯一残す聯合早報の投稿へも不都合な内容が書き込まれたのか、コメント欄が封鎖されている。

 中国政府は、ロ朝関係を国内へ積極的に伝えたくない。もしくは、国民向けには、ロシア支持を隠していない中国政府であるが、それが諸外国にも見えるSNSなど外の世界へ漏れ出ないように意識してのインターネット上の言論統制なのかもしれない。

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