フォロワーが少なくても閲覧数が増える仕組み
数あるSNSの中で、動画に特化したタイプのTikTok(ティックトック)は、日本や韓国、タイなどで特に若い人から絶大な支持を得ている。
2016年にバイトダンスによってサービスが始まったアプリで、数秒から数分程度の動画を投稿できることで、気軽に動画作成でき、同時に短時間でたくさんの映像を視聴できることが特徴だ。
日本では、10代、20代を中心に利用され、若い人が軽快な音楽をバックに踊る映像が多く見受けられる。
また、ユーチューブなど別のチャンネルに誘導するための広告のような使い方、映画やテレビなどの映像の一部をアップしている人も少なくない。
このアプリは、誰かをフォローしなくとも不特定多数のお勧め動画が閲覧できるようになっている。
これら動画は、アプリ運営側で設定している諸条件を満たしていると優良アカウントと識別されてお勧めに上げられる。お勧めに上がればフォロワーを獲得しやすくなるメリットがある。
また、視聴者側の好みも反映され、ユーザーが求めているような情報が自動的に出てくる。
タイで多い人気動画は?
タイで多い人気動画は?
ティックトックは、40の言語で利用できるアプリで、基本的には各国において人気動画などのトレンドが変わってくる。
そのため、海外旅行や長期滞在で外国に来ると、時に自動的にその国におけるお勧め動画ばかりが出てくることもある。
筆者の場合、タイに来た途端にお勧めはすべてタイ人ユーザーによる動画になってしまった。
ただし、そもそもユーザーが求めている動画がアップされる傾向にあるので、自動的に外国のトレンドでお勧めが構成されてしまっても、日本語動画の視聴時間を伸ばせば再び日本のトレンドに近づけることができる。
今、筆者は、タイのトレンドになってしまってから40日ほどが経過しているが、現在は、30%くらいが日本の動画に戻りつつある(筆者の場合、タイ語動画も相当数見ているため?)。
さて、お勧めがタイ化してしまったことで気がついたことがある(※筆者の視聴傾向の影響も強く、必ずしもすべてのユーザーに当てはまるわけではないので参考程度に)。
日本の動画は、特に若い女性のダンスが多いのに対して、タイはユーザーの年齢層が高いのか、ニュースや社会問題を取り上げている動画が多い傾向にある。
K-POP動画も人気グループに大きな違い
K-POP動画も人気グループに大きな違い
さらに、アジアどころか世界で人気になっているK-POPにも大きな違いがあった。
人気のグループが大きく違う。特に日本とタイでは、それぞれの国籍メンバーがいることで動画にも違いが出てくる。
日本であれば、「TWICE」(トゥワイス)が圧倒的に多い。TWICEメンバーに3人の日本人女性サナ、モモ、ミナがいる点は大きい。同時に韓国人メンバーそれぞれも日本では人気があり、ファンによる韓国人メンバーの動画もたくさんある。
タイのティックトック上では、やはり「BLACKPINK」(ブラックピンク)の動画が多い。それもタイ人メンバーのリサにクローズアップしている動画が圧倒的だ。
だが、タイでTWICEが不人気というわけではない。また、ブラックピンクも日本市場において日本語楽曲をリリースしているので、日本国内でのブラックピンク人気もまた高い。
そのため、日本のティックトック内では、ブラックピンクの動画も決して少なくない。
しかし、タイのティックトックでは、圧倒的にブラックピンクが多すぎて、TWICEの動画が埋もれている状態だ。
タイ人は日本人と違い愛国心が強い。それもあって、ブラックピンクメンバーのリサが同じタイ人という感覚が、TWICEの日本人メンバーに持つ日本人の思い入れとは大きく違う点もタイのトレンドに大きく影響していると感じる。
高田 胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)など、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)