相手の政治志向を知るためにSNSチェック

相手の政治志向を知るためにSNSチェック

2022年3月9日に実施された韓国大統領選挙 出典 Early_voting_presidential_election_03 / koreanet

 街角でのナンパというのは、もはや前時代のやり方。現代の若者たちが恋人と出会う手段は、マッチングアプリやSNSが主流になっている。

 韓国も同じで、様々なマッチングアプリが普及している。が、日本とは少し違いもあり、ユーザーの基本情報に政治に関して、「保守的」「進歩的」「中立」「無関心」のいずれかを表示したアプリが増えているという。

 また、韓国の若者たちは、恋人候補のSNSを入念にチェックする。

 自分の政治志向と合わない政党や団体をフォローしていないか、どんな政治集会に参加しているのか。と、そんなところまで調べる人が多い。

 日本では考えられない。相手に対して知りたいことは、容姿や身長、学歴や仕事、収入。あとは、好きな趣味とか、好きな映画、好きな音楽…と、それくらいだろうか。

 相手の政治観を気にするような人は、いないと思う。

若者層の投票率は日韓でかなり差がある

 国政選挙における20代、30代の若者層の投票率を見てみる。

 2013年以降の日本では30~40%と、かなり低い数字になっている。昨年行われた総選挙でも、20代の投票率は33.8%だった。

 一方、韓国では、直近の国会議員選挙で投票した20代は、過半数を上回る58.8%。大統領選は2017年が76.2%、若者の投票率が低かったと言われる2022年3月大統領選でも65.3%が投票所に行っている。

 政治への関心が高い韓国の若者たちは、集まって酒を飲む時にも政治談義で盛り上がる。ヒートアップして激昂することも多々あるようで、こうなると政治傾向の違いで男女の仲に亀裂が生じることにもなりかねない。

 それを予防するには、彼氏・彼女にするなら政治観や支持政党が同じ人がいい。

 映画や音楽の好み以上に、知っておくべき相手の基本情報だと考える人は多いようである。

フェミニズム認識のチェックも入念に

フェミニズム認識のチェックも入念に

K-POPガールズグループもフェミニズム?韓中文化交流年開幕式(2021年9月8日)出典 Korea_China_Cultural_Exchanges_Year_Ceremony_12 / koreanet

 また、近年はフェミニズムに対する相手の意識も、事前に知っておくべきことの1つ。

 今の韓国は、女性の開放を訴えるフェミニズム運動が大きな盛り上がりを見せている。行き過ぎたフェミニズムを逆差別として批判する声も強くなってきた。

 特に就職などで女性を優遇する最近の逆差別を怒る男子学生は多く、若者たちの間でもフェミニストと反フェミニストの争いが絶えない。

 思想信条まで知ってからつき合わないと、不幸なことになってしまう。そのため、気になる相手のSNSのチェックもより入念に行う。

日本では政治観で争うカプッルはいない

 また、日本人は言い争いが苦手。

 自分に関係のないこと、意見の一致を必要としないことであれば、相手との相違点はスルーして論争を避ける。韓国人と比べてその傾向が顕著だ。

 デートでどんな映画を見るか、何を食べるかについては、相手の好みを理解してすり合わせる必要がある。当然、それについての話し合いは避けられない。だから、趣味や好みは近いほうがいいと思う。

 だが、思想信条については、いちいち意見をすり合わせる必要はない。

 投票用紙は各自に渡され、それぞれが好きな政党や政治家を選んで1票を投じる。カップルや夫婦が、支持する政党や候補者を同一にする必要はどこにもないのだから。

 もともと政治への関心が薄い上に、必要ないことの論争は極力避けたがる日本人気質なら、相手の政治観など知らなくても上手くやっていけそうではある。

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)、『日韓併合の収支決算報告~〝投資と回収〟から見た「植民地・朝鮮」~』(彩図社)、近著『明治維新の収支決算報告』(彩図社、2022年)。「さんたつ by 散歩の達人」で連載中。

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