モンゴル人スタッフが転落死
7月31日、韓国人歌手のPSY(サイ)さんのコンサート後の撤去作業中に20代のモンゴル人スタッフが転落死する事故が起こった。
事故は、コンサート会場の江原道江陵市内の江陵総合運動場での撤去中に5階相当の鉄骨構造物から落下。足を滑らせた事故とみられるという。
このニュースが中国SNS微博(ウェイボー)で1日、#PSY演唱会工作人员坠亡#(SPYのコンサートで作業員転落死)というタグが付けられて広く拡散した。
最も多い投稿には、620件のコメント、21203件の関心を示すいいねが確認できる。
「かわいそう」「ご冥福を」「ひどい」「コンサートでの事故が多すぎる」「PSY?昔いたね」などが書き込まれている。
近年、中国国内でも大型イベントでの事故が起こっていて、それと重ねるようなコメントが多いようだ。
さらに、このコンサートが、「びしょぬれショー」というコンセンプトだったことも伝えられて、「放水された水で滑って転落したのでは?」などの憶測も飛んでいる。
また、コンサートが開催された江原道が今夏水不足なことから、「人民への配慮が足りない」との批判的なコメントも書き込まれている。
「重大災害処罰法」違反なら懲役1年以上も
韓国の報道によれば、韓国警察は、今回の事故を「重大災害処罰法」が該当するかを検討しているという。
重大災害処罰法は、今年1月31日に『韓国「なんだかヤバそうな」重大災害処罰法 日本企業が警戒するワケ』で伝えた1月27日に施行された新しい法律だ。
この法律は、「工場や建設現場などで死亡者1人以上、重傷者2人以上が発生すると重大災害と認定。
安全措置の義務に違反があった場合は、事業者や経営責任者に厳しい処罰を科すというものだ。50人以上が働く事業所が対象となり、外国企業にも適用される。
有罪判決が下れば1年以上の懲役、または10億ウォン(約1億円)の罰金を支払わねばならない」というもの。
「国民感情に左右されて恣意(しい)的な政治運用されるのでは?」と韓国国内で展開する日本企業が警戒していた法律だった。
今回、PSYさんのコンサート運営会社へ重大災害処罰法が適応されれば、再び話題となりそうだ。
中国では「あの人は今」
日本視点では、重大災害処罰法の適応が気になるところではあるが、中国ではちょっと違うようだ。
ウェイボーのコメントには、「懐かしい」「そんな人いたねー」「聞いたことある!」などのコメントも確認できる。
PSYさんの「江南スタイル」がユーチューブで主に欧米から火がつき一躍有名となったのは2012年。欧米経由で日本や中国でも話題となった。
この当時、中国では禁韓令前だったので、江南スタイルは、テレビやインターネットで大量に流れた。そのため、多くの中国人は知っている。
禁韓令は2017年3月からとされているが、実は、K-POPなど韓国エンタメはその少し前から制限が始まっていて、テレビCMや企業広告、K-POP、ドラマ、映画などは姿を消していた。
それもあってか今回の事故、多くの中国人が「あの人は今」くらいで見たのかもしれない。