4月初めに金剛郡伊布里から発生
2年遅れで北朝鮮でまん延した新型コロナウイルスの流入経路が判明したと、1日の国営の朝鮮中央放送が伝えた。
国家非常防疫司令部が6月30日に、4月末から急速に流行した新型コロナの流入経路を明らかにしたという。
それによると、最初の発生地域は、江原道金剛郡伊布里で、他の地域での発熱者は、その他の疾病による発熱であり、また、集団発生した事例もないことが確認されたので、科学的な結論で特定した。
最初の発生地域である金剛郡伊布里で調査をしたところ、4月初めに18歳軍人と5歳の幼稚園児が兵営と住宅地近くの野山で風変わりな物と接触。その後、新型コロナの初期症状を発症。新型コロナウイルスの抗体検査で陽性と判定された。
以下、補足。抗体検査となっているが、抗体検査は発症直後に行っても抗体が獲得できていない可能性があり、新型コロナの感染を特定できるものではない。
北朝鮮は、環境的にPCR検査ができないとも言われているので、抗体検査ではなく、簡易検査である抗原検査のことを指しているのかもしれない。
風変わりな物とは韓国からの風船ビラ
国家非常防疫司令部は、金剛郡伊布里で確認された新型コロナが世界的に流行しているオミクロン株のBA.2であり、金剛郡伊布里から全国各地へ同時多発的に伝播したと党中央委員会と内閣へ報告したという。
この発表で言う風変わりな物とは、韓国から風船で飛ばされたビラのことを指す。
要するに流入原因は、風船やそこにぶら下がっている物に付着したウイルスからの接触感染したと言っているのだ。
そんなことが科学的にあり得るのだろうか。
風船やビラ、袋の素材は、プラスティックや紙であろうと推測される。2020年春先の初期型の新型コロナは、接触感染での感染も多かったとも言われる。
なんせ発生当初、今回の新型コロナは、SARS-CoV-2の名前の通り、重症急性呼吸器症候群(SARS)の2とされていたくらいなので(SARSは接触感染が多かったという)。
「実は接触感染は多くない」東京都医師会・尾崎会長
現在でも日本は、接触なのか、飛沫なのかなど、どうやって感染したかの明確な割合は発表していない。
東京都医師会の尾崎治夫会長は、6月14日の記者会見の中で、「実は、接触感染はそれほど多くないので、こだわって消毒する必要はないのかもしれない」と述べている。
接触感染が少なくなったということは、もしかしたら、新型コロナが、デルタ、オミクロン株と変異が進み弱毒化することで、付着したウイルスの不活になるまでの時間が短くなっているのかもしれない。
世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスの生存期間は、プラスティック表面で最大72時間、ボール紙で最大24時間とされると発表している。
しかし、このWHOの生存期間の発表は、2020年春先までの初期型のものとされ、変異を遂げた現在の株のものではない。
東京都医師会が定例会見(2022年6月14日)
尾崎会長の発言は冒頭から11分半ほど。
中国でも多い物からの接触感染主張
2022年現在、貨物など物からの接触感染でパンデミックが発生したという事例は報じられていない。果たして、どうなのだろうか。
仮に風船ビラに触れたとしても、その手のまま口や鼻を触ったのだろうか。
ウイルスの侵入を防ぐ効果は別として、少なくてもマスクを着用していれば、無意識な口や鼻への接触は物理的に防げるはずである。
同じような主張は中国でも盛んに見られる。
たとえば、韓国からの冷凍食品から接触感染したや日本からの国際貨物から感染したなどだ。
ウイルスが生存しているかは置いておいて、これも貨物を触った後に手も洗わずに口や鼻を触れたのだろうか。
だとしたら、まず衛生習慣を見直し、改めて徹底することが簡単にできる最善な防疫なのではないだろうか。
この点について中国の官製メディアは言及していないようだ。