朝鮮族も知らないオンライン展覧会
「うわさにもなっていませんが、本当ですか?知っている朝鮮族の企業で参加しているって話を1件も聞かないのですが…」
と話すのは、中国遼寧省で医療機関グループを経営する朝鮮族の経営者だ。
国連制裁が強化される以前は、北朝鮮からの医療関係者の訪問などで交流があり、現在も朝鮮族の起業家団体を通じて交易などの情報を得ているそうだ。
実は、あるオンラインイベントが本日最終日を迎えているはず。
中国語表記だと「2022年中国-朝鮮国際商品貿易デジタル展覧会」。要は、オンラインでの中朝貿易展覧会だ。
今年1月に中国で発表された開催要項では、開催期間は4月28日から6月28日まで。主催は、中国国際商会、朝鮮国際展覧社。展示方式は、オンライン展示・商談。北朝鮮側は、ECサイト「万物商」などと連携し商品を展示する。
中朝350社が参加。出店費用13万8000円
参加企業は、北朝鮮約150社、中国約200社。出店費用は6800元(約13万8000円)。特典として展覧会終了後も1年間オンライン展示スペースを利用できる。となっている。
公式サイトは確認できる。しかし、スマートフォン専用サイトのようだ。スマホ画面で商談しているだろうか。
このオンライン展覧会は、4月28日の開幕日に北朝鮮国営の朝鮮中央通信が報じた。それを韓国・聯合ニュースが中朝貿易展覧会が2015年以来7年ぶりに開催されると報じている。
しかし、最終日である本日になっても中国官製も民間メディアでも記事が1件も確認できない。北朝鮮メディアも4月28日以降、報じていない。
「朝鮮焼酎などのアルコール飲料の商談をやっているとの話は聞いていますが、(北)朝鮮の商品は、現物を実際に見て触らないと何とも言えないものが多いので、オンラインは厳しいですね」(瀋陽・北朝鮮飲料の販売代理店)
ロックダウンで丹東企業に体力なし?
ロックダウンで丹東企業に体力なし?
聯合ニュースが伝えた通り、北朝鮮の名前がつく展覧会は、2015年10月の丹東での開催が最後となっている。
北朝鮮だけでなく、日本や韓国、ロシア、モンゴルなど複数国での国際展覧会は、その後も中国で開催されている。
北朝鮮と交易をする中国企業は、国境を接する遼寧省と吉林省に集まっており、その中でも最大の国境都市である丹東に密集している。
その丹東では、展覧会が始まる直前に新型コロナウイルス感染対策で都市封鎖(ロックダウン)されたことも影響したとみられる。
丹東は2か月以上も経済活動が停止となり、国や市からの保証金や支援金は1元もないため、倒産危機に見舞われている企業は少なくないという。
丹東では、北朝鮮との商談どころではないという会社が多いのかもしれない。