VOAやRFAが報じる
米国政府の海外向け放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」は、3日、北朝鮮が最近、中国から提供を受けた新型コロナウイルスワクチンの接種を開始したとCOVAX(コバックス)の情報を元に報じた。
COVAXによると、中国から持ち込まれたワクチンの種類や量、時期などの詳細は不明とのこと。VOAは、在米中国大使館へ質問したが、回答は得られなかったという。
現時点でもCOVAXは、北朝鮮から正式にワクチン提供要請を受けていないため、今回の中国から北朝鮮へ提供されたワクチンについてCOVAXは関与していないという。
また、ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、北朝鮮内部の情報筋からの話として、先月18日に平壌の松新・松花地区住宅地区の1万戸の住宅建設に参加する軍人に中国製の新型コロナワクチンを接種したと報じている。
この情報は、3日に聯合ニュースが配信したものだが、なぜか、韓国語版や日本語版では確認できず、中国語(簡体字・繁体字)版のみで確認できる。
ワクチンなどセット提供を提案するロシア
2日、ロシア政府系通信社のスプートニク中国語版は、北朝鮮のロシア大使館がスプートニクの取材に対し、ロシアが北朝鮮に対してロシア製の新型コロワクチン、医薬品、検査システムの提供に加え、専門家を派遣する提案をしたと明かした。北朝鮮側からの返答は、まだないとのことだ。
ロシア大使館関係者は、「北朝鮮がロシアからの提案に関心があれば、迅速に提供し、一定の水準を維持するために最善を尽くす用意がある」と述べた。
スプートニクは、今年3月に欧州連合(EU)から禁止令を受けている。2016年には、米情報当局からフェイクニュースを流す情報機関と名指しされたメディアだ。
ファイザー希望と伝えられていたが…
これまで北朝鮮は、COVAXからの提供ワクチンを受け取らなかったと伝えられている。その理由は、提供予定のワクチンが中国製だったからではないかとされる。
北朝鮮が内々に希望していたのは、ファイザー製だと一部で報じられていたが、問題は、ワクチンを保管するための冷凍装置とそれを動かすための電力に課題があると専門家は指摘していた。
ファイザー製ワクチンは、登場当初、氷点下90~同60超低温状態で輸入され、特殊な冷凍庫で保管する必要があった。
しかし、昨年3月以降は、氷点下25度~同15度の冷凍庫で2週間保管できるように保管条件が変更されている。
それでも冷凍庫と効率よく運搬し、使い終わる必要があることには変わりなく、北朝鮮には、ハードルが高いのではないかと考えられる(注射器はどうするのかも気になる)。
それに対して、中国製のシノバックワクチンは、従来型の不活化ワクチンということもり、2~8度の冷蔵庫で保管できる。そのため、電力事情や設備が厳しい発展途上国などでも扱いやすいものとなっている。
もっとも、効果は別の話であるが…。