4年に1回の全体大会開催
4年に1回の全体大会開催
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)は、5月28、29日の2日間、東京朝鮮文化会館(東京都北区)で、第25回全体大会を開催した。
全体大会は、4年に1回行われる最高意思決定機関。
2012年からトップを務めている許宗萬(ホ・ジョンマン)議長が再任したほか、幹部人事が行われた。
大会報告では、「日本社会には民族排他と人権侵害行為がまん延している」とした上で、同胞の権利問題や民族教育が課題としてあげられている。
北朝鮮本国でも、大会への関心は高く、5月30日付の労働新聞が、1、2面で大会内容を報じている。
日本の著名人も参加
朝鮮総連の機関紙・朝鮮新報は、大会について速報しており、約1400人の総連代議員が出席したことを伝えている。
日本の各界からも、日朝友好団体関係者などが参加。来賓の1人である鈴木宗男議員(日本維新の会国会議員団副代表)は、「汗をかいてまいりたい、いくばくかのお役に立ちたいと決意するものであります」と、日朝友好に向けた決意を述べた。
実は、全体大会には、日本の著名人が参加することが半ば慣例化している。
前回の第24回大会(2018年)でも自民党教育再生実行本部長だった馳浩氏(現石川県知事)やタレントのデヴィ・スカルノ氏(金日成花・金正花普及委員会名誉会長)が来賓として参加し、日朝友好を呼びかけている。
正恩氏、韓国民団との共同運動に言及
大会冒頭では、金正恩(キム・ジョンウン)総書記からの約1万字にわたる長文の書簡が読み上げられた。
最高指導者の言葉であるので、総連の活動や方針に直結することになる。
書簡は、主に在日同胞の権利擁護運動や民族教育の強化を訴える内容であった。特に、朝鮮学校への言及が目立っており、「総連の各級学校の生徒・学生数を決定的に増やすべき」「朝鮮大学校の事業をさらに改善・強化しなければならない」などと指摘している。
民族運動と民族教育を不可分に捉えている正恩氏の認識がうかがわれる。
意外であったのは、正恩氏が民族運動と関連して、在日本大韓民国民団(民団)との「共同運動」の必要性に言及したことである。
団体の性質上、総連は、韓国側の民団と友好的関係にあるとは言えない。
だが、来年100周年を迎える「関東大震災朝鮮人虐殺事件」の真相究明をはじめ、歴史認識問題や権利問題の解決を日本政府に訴える上で、民団との連帯を促したものと推測される。
ある総連関係者は、取材に対し、「北南対話が停滞する中において、朝鮮総連と民団が手を取り合うことに言及したのは驚きである。ただ、韓国では、保守政権である尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が誕生したこともあり、民団が総連とすぐに協調するとは考えにくい」と語った。
「海外同胞権益擁護法」にもとづいて活動か
さて、全体大会の報告文を読むと、正恩氏が指摘した権利問題や民族教育が、やはり重点的に扱われている。
総連としては、民族運動・民族教育の発展や次世代の活動家の育成などを課題として扱っている。
特に「同胞の権益」という言葉が多数使われているが、これは、今年2月に北朝鮮の最高人民会議で採択された「海外同胞権益擁護法」とも関係が深い。
同法は、「朝鮮国籍または外国国籍を有し、他国に居住する朝鮮民族」を海外同胞と定義し、海外同胞の民族教育や経済協力などを保障している(全54条)。
たとえば、居住国で民族教育を受ける権利(23条)や朝鮮大学校などの同胞教育機関が発行した卒業証書が、北朝鮮本国の教育機関で発給された卒業証書と同等に扱われること(27条)などの規定がある。
今後、朝鮮総連は、海外同胞権益擁護法を背景にして、朝鮮学校を取り巻く諸問題や、在日コリアンの権利問題などの解決に向けて民族運動に取り組むものとみられる。
八島 有佑
@yashiima
普段は、やれ北朝鮮やらミサイルやら核やらと騒いでいるのに、大手メディアはほとんど総連について報道しない。
かと言って北朝鮮側の朝鮮新報の内容だけだとどうもーーーという感じ。
これからも報道おねがいします。