羅先在住中国人が伝える北朝鮮の今

羅先在住中国人が伝える北朝鮮の今

朝鮮人民軍が医薬品搬入を手伝う平壌市内の薬局と報じる19日付の労働新聞(提供 コリアメディア)

 現在、北朝鮮では、「PCR検査をやっていない」と北朝鮮在住の中国人が、中国SNSへ投稿している。

 「新型コロナ感染爆発後、北朝鮮在住の中国人は現在どうしているのか?」と題した記事を微博(ウェイボー)へ投稿している。

 投稿主は、羅先特別市在住となっている中国人駐在員だ。以下、意訳でお伝えする。

在住中国人も感染。通常の風邪に近い症状

 私はここ数日、北朝鮮国内にいる中国人駐在員たちと連絡を取っている。

 今も北朝鮮に残る中国人は、基本的にホテルに長期滞在しているか、賃貸している自分のマンションに隔離されている状態である。ほぼ全員が自炊するようになった。

 北朝鮮は、ロックダウンされてから数日しか経過していないため、事前に買い込んでおいた食糧や野菜があり、当面の食料は問題ない。

 中国人駐在員の中には、すでに感染して発熱した人もいる。現在、それぞれの居住地で隔離されている。

 北朝鮮では、PCR検査を実施していないので、新型コロナウイルスによる症状なのか、それとも、風邪による発熱なのか確定できていない。

 基本的な症状は、発熱が続き、咳や喉の調子が悪く、通常の風邪の症状に近い。

インフルエンザと考える北朝鮮人も多い

 では、この症状に対して、どのような治療をしているかと言えば、アモキシシリン(抗生物質)、喉の痛み止め(プーアル茶を用いた漢方薬)、連花清瘟(2020年春、新型コロナに有効だと話題となった漢方薬)のカプセル、消炎剤を毎日服用している。

 中には、北朝鮮製の安宮牛黄丸(中国で有名な総合漢方薬)を服用し、注射や投薬で風邪や発熱時のような治療を受けている人もいる。

 薬を持っていない人は、耐えなければならず、北朝鮮の薬局は、すでに風邪薬や解熱剤が買い占められて店頭から姿を消している。

 「注射や投薬後、数日で回復したが、繰り返し熱がぶり返している」という中国人駐在員もいる。また、熱が何日も続き、注射や薬を飲んでも改善がみられないという人もいる。

 北朝鮮での発熱症状の感染拡大は非常に速い。

 重ねて書くが、北朝鮮ではPCR検査がないため、この症状がオミクロン株によるものか、それ以外のものか判断できない。北朝鮮人は、インフルエンザウイルスによるものと考える人も多い。

ロックダウン後も街の統制はそれほど厳しくない

 私が住む羅先市には、比較的多くの中国人ビジネスマンがいる。

 その多くが、ホテルのアパートメントに住んでいて、そこで隔離生活を送っている。中には、自社で賃貸したマンションの部屋で隔離生活をしている人もいる。

 食事や生活必需品は、ホテルのスタッフが買い出しを手伝ってくれるので、みんな安心して過ごせている。

 実は、街の統制はそれほど厳しくないようだ。

 ある都市の中国人は、北朝鮮人と一緒にこっそり外出し、夜中に帰宅しようとした。すると、見つかり、厳しく指導されて、隔離先のホテルへ戻されたとのことだ(それで済んだ)。

 最後に通信環境であるが、どの地域でも国際電話やインターネットは、通信機器の不具合によると思われる通信切断やインターネットの速度低下が時々見られるものの、おおむね、正常に機能している。また、北朝鮮国内向けの電話や連絡はまったく問題ない。

 北朝鮮政府は、12日からの北朝鮮での全国一斉ロックダウン後、全薬局に24時間営業を要請した。しかし、風邪薬や解熱剤は、すでに売り切れ状態になっている。

夢の特効薬と日本でも話題となる連花清瘟

夢の特効薬と日本でも話題となる連花清瘟

中国の淘宝網で販売されている連花清瘟

 北朝鮮で発熱患者が服用しているという連花清瘟は、2020年1月末に湖北省武漢で世界初の都市封鎖(ロックダウン)。その後、春先に中国全土の都市でもロックダウンが行われた時に話題となった漢方薬だ。

 肺炎症状を緩和する効果があるとされる。話題となった理由は、 連花清瘟が2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した時にSARS治療を目的に開発されたという経緯が関係している。

 日本でも「夢の特効薬」と一部で注目され、1箱数千円で売買されたようだ。

 しかし、今や話題となることもなく、中国では1箱20元(約380円)くらいで誰でも買うことができるものだ。
 
 今回の投稿は、あくまで北朝鮮在住の中国人の話と考えるべきだろう。

 いくら安価で一般的なものとは言え、中国製の市販薬を一般の北朝鮮人が入手して服用できるとは考えられないからだ。

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