信徒拡大を続ける新天地イエス教会
信徒拡大を続ける新天地イエス教会
韓国発オンライン宗教が日本人を狙う 4万人近く増やしたカルト教団の続き。
新天地イエス教会は、1984年に李萬煕(イ・マンヒ)総会長が創設したキリスト教会。韓国で新型コロナウイルスが広がり始めた2020年2月、大邱の教会で5000人以上の大規模クラスターを起こした。
当局が感染者・濃厚接触者を追跡するために要請した信徒名簿の提出を拒否し、感染を広げたとして非難を浴びた教会である。
韓国の主流のプロテスタント教会からは、カルト教団とみなされている。
新天地イエス教会の宣教活動は、韓国内にとどまらず日本を含む海外でも積極的に行われている。
同教会の宣教の方法は独特である。
「聖書の勉強会」に勧誘したり、一見すると宗教と関係のない活動で人を集めて、用意していたビデオを見せるなどして、徐々に入信に導くやり方である。
日本でも積極的な宣教活動を展開
日本でも積極的な宣教活動を展開
首都圏に住むある日本人男性は、語学の勉強のための交流サイトで50代の韓国人男性に話しかけられた。
「日韓交流と韓国語学習の会」でボランティアをしていると自己紹介したその男性は、「ひまわりの絵を描いてウクライナ大使館に贈るイベントに参加しませんか?」と勧誘してきた。
その後、「アジア連合平和セミナー」というセミナーへの参加を勧められ、新天地イエス教会の李萬煕総会長の講話を見せられたそうだ。
また、地域で不用品などの取引をするウェブサイト「ジモティー」の掲示板で、「心理学について教えます!」という投稿にひかれて連絡したら、新天地イエス教会の勧誘だったという体験をした女性もいる。
新天地イエス教会の働きかけの対象は、一般の個人にとどまらない。
日本の最大のプロテスタント教団である日本基督教団は、2021年11月「カルト団体のオンライン活動への喚起」という文書で、全国の教会に注意を呼びかけた。
それによれば、21年9月以降、新天地イエス教会が日本全国の教会にオンラインセミナーへの参加を呼びかけるメールを送っているそうだ。
「教会乗っ取り」が最終目標?
「教会乗っ取り」が最終目標?
クリスチャン新聞によると、新天地イエス教会の最終的な狙いは、「教会の乗っ取り」にあるという。
まず、様々な教派の理想的な信徒を演じることのできるスパイ(新天地イエス教会ではこれを「収穫の働き人」と呼ぶ)を養成して、ターゲットとなった教会に送り込む。
収穫の働き人は、模範的な信者として振る舞い、牧師の信頼を得つつ、教会員を秘かに自分たちの聖書勉強会に勧誘し、黙示録の独特な解釈を吹き込む。
数年がかりでシンパを増やし、教会役員なども取り込む。それから、ある日突然、牧師解任を決議して自分たちの牧師を招聘し、教会ごと乗っ取る。韓国ではこうした被害が多数報告されているそうだ。
新型コロナのクラスターが発生した時、教会側が信徒名簿の提出を拒否したのは、こうしたスパイが露見するのを恐れたためだとも言われる。
オンラインを利用した宣教は、実際に教会に足を運ぶより、心理的抵抗が少ない。
気軽な気持ちで参加するうちに、いつのまにか洗脳されてしまうというケースが増えてくると考えられるので、注意が必要だろう。
犬鍋 浩(いぬなべ ひろし)
1961年東京生まれ。1996年~2007年、韓国ソウルに居住。帰国後も市井のコリアンウォッチャーとして自身のブログで発信を続けている。
犬鍋のヨロマル漫談