「初の新型コロナ感染者を平壌で確認」朝鮮中央通信
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は12日、「5月8日、首都平壌のある団体の発熱者から採取した検体に対する厳格な遺伝子解析の結果、現在、世界的に感染が拡大しているオミクロン株の『BA.2』と一致することが確認された」と伝えた。
これまで、新型コロナウイルスの感染者は、1人も確認されていないと主張してきた北朝鮮が、初めて新型コロナの感染者を認めたことになる。
「2020年2月から本日に至る2年3か月にかけて、強固に守ってきた我々の非常防疫戦線が突破される国家最重要非常事態が発生した」とも伝えている。
初の感染者が確認されたのが、中国やロシアとの国境近くではなく、平壌であることから、北朝鮮国内を比較的自由に移動できる朝鮮人民軍など軍人や朝鮮労働党の関係者が、国境近くで感染し、平壌へ持ち帰って発症した可能性が考えられそうだ。
今回の初感染者確認で、北朝鮮国内はロックダウンに入ったと報じる情報もある。
中国民間メディアによる国内ニュースは禁止に
北朝鮮で初めて新型コロナ感染者が確認された件は、中国のSNSでも大量に投稿されて伝えられている。
SNS微博(ウェイボー)を見ると、現時点では、国営や中国共産党系などの官製メディアの投稿は確認できない。
しかし、すでに中国中央テレビは速報で報じ、民間メディアや個人アカウントで、「北朝鮮オミクロン株確認」というハッシュタグで大量の投稿が確認できる。
少し時間を置いてから環球時報など官製メディアでも投稿されると思われる。
現在、中国政府は、国内の民間メディアに対して、中国国内のニュース、特に政治や新型コロナについて独自の取材を元に報じることを控えるように通達している。要するに禁止したのだ。
個人アカウントも同様の規制を受けているので、該当投稿をすれば、削除されるだけなく、厳しく監視される。
中国の民間メディアや個人アカウントが記事にしたり、投稿できるのは、国内ニュースであれば、経済や芸能、スポーツなど政治と関係ないもの、または、海外ニュースとなる。
そのため、ガス抜きも兼ねた海外ニュースは、炎上する傾向が顕著になっている。
中国SNSでまことしやかに流れる陰謀論
今回の件は、経済誌や映画紹介誌などの北朝鮮とは関係なさそうなアカウントが投稿し、それぞれ数百のコメントが書き込まれている。
コメントを覗くと、「え?(北)朝鮮で?」「最強防疫が突破された」「ワクチン打ってないでしょ」「これで中国と真の意味で仲間だね」「どうやって流入したの?」など確認できる。
また、件数は多くないが、気になるコメントも散見されている。
「米国が韓国を使って散布した」など米国がオミクロン株のBA.2を北朝鮮へ持ち込んだというものだ。
中国では、米国がBA.2を生み出して世界や中国へばらまいたという陰謀論的な話がまことしやかに流れている。
中国政府が意図的に流し、反米世論形成に利用しているだけでなく、習近平政権への批判かわしに使っている可能性も否定できない。