自らのニュースを読み上げる78歳の女子アナ
自らのニュースを読み上げる78歳の女子アナ
13日、完成したばかりの高級住宅が李春姫(リ・チュニ)氏に贈呈された。この映像や写真は14日の北朝鮮メディアで公開されている。
李春姫氏は、朝鮮中央テレビの名物アナウンサーとして日本でもよく知られる。
以前に比べると登場回数は減ったものの、今でも重大ニュース発表時には登場している。
今回、国家への功労者として新居を与えられた李春姫氏へ金正恩(キム・ジョンウン)総書記が寄り添うようにモデルルームのようなピカピカの部屋を一緒に視察し、李氏の家族とされる記念写真など14日付の労働新聞に24枚掲載されている。
金正恩総書記は、李春姫氏について、「我が党の声、朝鮮の声を世界各地に響かせている」と高く評価。
ちなみに、朝鮮中央テレビで報じられたこのニュースは、李春姫氏自身がいつも通り力強く読み上げている。さすが7月に79歳を迎える百戦錬磨の大ベテランだ。
4月15日「太陽節」を盛り上げる狙いも
李春姫氏が与えられた新居は、平壌中心部に近い「普通江川岸段々式住宅区」と呼ばれる800戸規模の新興住宅エリア。
この場所は、かつて金日成(キム・イルソン)主席の邸宅があったとされる場所で、北朝鮮にとって特別な場所だ。
今回の功労者への住宅地建設に金正恩総書記は、「(主席も)満足されているだろう」と話したという。
ちょうど15日は、金日成主席の生誕日で、北朝鮮最大の祝日とされる「太陽節」。
特に今年は、生誕110年の記念日となるため、金日成主席ゆかりの場所への住宅完成で太陽節をより大々的に盛り上げようという狙いもありそうだ。
「80近い人にエレベータなしはきついよ」中国SNS
さて、このニュースは、中国のSNSの微博(ウェイボー)でも投稿されている。
特にコメントを集めているのが、北朝鮮が運営に関与しているとみられる「NewDPRK」の投稿。
李春姫氏新居関連の投稿は、NewDPRKの普段の投稿の3、4倍の100件近くのコメントが確認できる(実際に表示されているのは30件ほど。中国当局により削除されているとみられる)。
李春姫氏は、欧米では「ピンクレディー」と呼ばれているが、中国でも知名度は高く、そのまま李春姫でヒットする。
表示されているコメントには、「良い部屋」「李春姫は国宝」「ホームレスがいない。まさに真の社会主義」「金正恩さん高齢者に優しいね」「朝鮮はますます発展してきたね。次は改革開放だ」「一緒に写っている孫娘かわいい」「偉大な人民、偉大な領導者」などが確認できる。
削除対象になっていないのか、残されているものには、「何でまた太ったの?」「オール電化は問題だろう」「80近い人にエレベータなしはきついよ」「マスク持っているけどなぜ?」など皮肉めいたものも確認できる。
これくらいなら中国当局から削除されないということだろう。まるでリトマス試験紙のようだ。